M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第712号(2018.12.10~12.16)この世は全て催眠だ(453)〜現代のフルートの開発者に感動!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(453
現代のフルートの開発者に感動!

 私が初めてフルートを手にした中学1年生のとき、その長さに圧倒されたのをおぼえています。そして、今まで吹いていた縦笛(スペリオパイプ)との違いは、何と言ってもトーンホール(笛の穴)を押さえるのがキーと呼ばれる金属の蓋であったことです。右手の人差し指“F(ファ)のキー”を押さえると、不思議な事に左手の位置にあるBbのキーも同時に塞がるから驚きでした。
 そして、まず先輩から「ドレミファソラシド」の指使いを習い、それが吹けるようになると半音階の練習に入ります。これがまた、ややこしい指使いで、最初のドレミの比ではありません。しかし、何とか半音階を吹けるようになった頃、私はふとこのややこしい指使いの法則性は何かという疑問を持ち始めました。
 そして、高い“ド”から半音ずつ下がってゆく指使いを見て、ハッとしました。それは、押さえたり放したりしているように思っていた指使いは、実はフルートのトーンホールを一つずつ押さえるように出来ていたのです。つまりフルートに開けられた穴は一つずつ塞いでゆくことで、半音ずつ音階が下がるように考えられていたのです。しかし、私たちの指は左右合わせて10本しかないのに、半音階は12音(オクターブは除く)あります。しかも10本の指の内、右手の親指は楽器を支えるためにだけ用いますから、実際に活用できる指は9本です。これで12の音を出す工夫が為されたのが、現在のフルートです。
 このメカニズムに感動した私は、小さいときからの探究心からこのフルートを分解してみたのです。すると、そこには人間の知恵の結晶と言っても過言ではない、巧妙なメカニズムが隠されていて、それはもう感動ものでした。
 「この、メカニズムを作った人は誰なんだろう」
という疑問から、中一の私は市の図書館の職員に尋ね廻って、その発明者の名前を突き止めました。その名は“テオバルト・ベーム”という19世紀半ばのドイツ人フルーティストだったのです。
 こんな素晴らしいメカニズムを、思いつく人間のおこぼれにあずかれることの幸福感に、フルートに対する愛着執着心が生まれたのを昨日のように思い出します。

 

★★上達の奥義、ここに大発見……!★★

 フルートを分解し、図書館で開発者を見つけたまではよかったのですが、何せ中一の私です。次に組み立てて見たところ、キーが2コほど余るのです。そして、ドシラソまで降りて来るのですが、次のファから下の音が全く鳴りません。とにかく焦りました。そうです。分解したのではなく、壊してしまったのではないかという懸念と恐怖が心を襲い、為す術なく、3年生の廿日出信雄先輩に、殴られることを覚悟で正直に楽器と余ったキーを持っていきましたところ、大爆笑され、手際よく
このAb(ラb)のキーは、一番最初に填(は)めとかなアカンねんで……。これから気ィ付けや
と、テキパキと修復してくれ、その上に優しいお言葉!……こんなことがあって、私は現在もフルートの分解掃除は、プロの方にお墨付きを貰うほどの腕前になりました。
 こんなことがあって、私はフルートの音が鳴るメカニズムにも興味を持ち、マウスピースの角度やフルート本体の合理的な構え方まで興味を持ったのです。
 そして、以前にもこのコラムで書きましたが、1年生の11月初旬に、世界一のフルーティスト、ジャン・ピエール・ランパル先生のフルートを間近で聞くことができ、その音色や演奏が脳裏から離れず、「あんな演奏はどうすれば出来るのか?」と疑問と憧れの入り交じった不思議な感覚が体中を駆け巡ったのです。その感覚は、私が中学3年生になったときに、思いも掛けないことで回答を得ることが出来ました。
 それは、得津武史先生が大音量のスピーカーでコンクール自由曲の「ハンガリー狂詩曲第3番」を聞かせてくれていたときです。天籟(てんらい:天然に発する響き、神の声)とも思える声が聞こえてきたのです。
 「上達は腕ではなく、耳を鍛えよ!」
 それまで、私は先週書いたように、眼や耳、指や息づかいをどうすれば一致させることが出来るかと、全ての器官をバラバラに捉え、それを一つにさせるための自律神経(今だから言える解釈です)の調和を目指していたために、それが上手くいかないとイライラしていたのです。ところが、この大音量のレコードは、感覚器官の受容体である“耳”が要だと言うのです。してみれば、料理の腕を上げるのも”舌”であり、絵画は“眼”を鍛えることが大切だと言うことになります。

 この信念めいた、受容体(送る側より受ける側)優先理論は66歳の現在でも、揺らぐことはありません。従って、私のところにフルートを学びに来る人間には、演奏法を教えるのではなく、私の演奏を聴かせることから始めます。そして、彼らの耳がどこまで細かい相違を聞き分けられるかを測り、その緻密さが楽器上達の奥義だと今では信念化しています。

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/