M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第724号(2019.3.4~3.10)この世は全て催眠だ(465)〜メンバーが替わっても、先生は同じ!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(465
メンバーが替わっても、先生は同じ!

 いよいよ、万全を期して全日本吹奏楽コンクールが行われる宮城県仙台市にある宮城県民会館に出発する日が近づいてきました。私たちはコンクールの課題曲が発表されてから、この日まで5ヶ月以上に渡って、課題曲「学園序曲」と自由曲「ハンガリー狂詩曲第3番」を、大げさではなく、一千回は練習してきました。朝の7時から夜の9時まで練習に次ぐ練習で、身体はクタクタに疲れ果てても、中学生の体力は凄まじいものがあります。家に帰って食べて寝るだけで、また、元に戻るのです。いや、それでもやはり睡眠不足は堪えます。練習中に眠ってしまったこともしばしばです。それでも、眠りながら自分のSolo(独奏)のところはキッチリと吹いていました。それはもう、無意識の領域に入っていたのです。
 その昔、日本の兵隊さん(旧陸軍)は上官の制裁の厳しさに音を上げ、自殺者まで出たと聞きました。そんな状況下では、内地にいるより(死ぬかも知れない)戦地に行った方がマシだと、外地に出征することを喜んだといいます。まさに、私たちはその心境が分かるくらい、コンクールが楽しみでした。
 これは、今は亡き得津武史先生には申し訳ないのですが、我々子供達のための練習というより、先生の安定した指揮ぶりの為にやっていたのではと思います。後に(私が卒業してから)分かるのですが、得津先生は、もの凄い上がり症で、コンクールになると、いつも練習していた速度より、指揮棒のテンポが2割方速くなり、12分ギリギリで2曲を演奏するように練習しているにも拘わらず、ひどいときには10分チョイで終わったこともあります。たった2分といえども、クラシック音楽からいうととても早い演奏です。
 どれだけ、周囲の高名な指揮者の先生が「今年のメンバーは、良いね」と言われても、先生はいつもと同じでした。いや、メンバーが落ち着いている分、生徒から見た先生は浮き足立って見えました。

 

★★一つ、梅忠は要領の良さを本分とすべし!★★ 

 毎年、そうなのですが、全日本吹奏楽コンクール出発を十日くらいにひかえた頃、得津先生は緊張のあまり、理性の糸がプッツリと切れることがあります。そんな時、得津先生は自己制御不能になり、生徒のアラを探して、全員集合を掛け、謂われもないのに、
 「お前らたるんどる。コンクール前にいい加減にせい
と、連帯責任ということで、全員「天ぷら棒の嵐」に晒されます。これは、まるで日本の軍隊と同じで、上官の気分によってビンタを食らったのです。もしかしたら、私がダブルバインドで上級生二人から制裁を加えられたのも、このような心理からだったのかも知れません。ですから、私は敏感に察知する能力ができていたのでしょう。戦前の軍人勅諭の第1箇条に、
 「一つ、軍人は忠節を尽くすを本分とすべし
と言う条項がありました。私はこれをもじって
 「一つ、梅忠は要領の良さを本分とすべし!
を座右の銘に(そんなに大げさでな事ではありませんが)、頑張っていました。
 さてその日は、クラブ中に何か朝から異様な雰囲気がしていました。それを第六感で察知した私は、自分に新たに与えられた全日本大会用の村松フルート製(世界的に有名なフルート製作会社)のスターリング・シルバー(銀製)のフルートの調子が思わしくないことに気付き、
 「先生、新しい楽器の調子が悪いので修理に心斎橋のヤマハ(日本楽器)に行ってきます
と申告して、楽器の調整に出かけました。そして、午後7時頃に学校に帰ると、みんな頭を抑えたり、頬を腫らしたりしています。私が、
 「どないしたんや……?
と尋ねると、
 「コンクール前の、トクツのヒステリーが起きよった!
と、チューバの“殺し屋”が教えてくれました。
 今では、考えられないと思いますが、先生による体罰は日常茶飯事の時代です。コンクール前は先生も不安と恐怖から、自分の感情の止め処を分からなくなってしまったのでしょう。生徒全員が「いつか必ず来る」と思ってはいたものの、強烈な一撃をみんなはその日に喰らっていたのです。そんな時から、私は自分の身の危険を察知し、それと競合するかのように楽器の調子が悪くなるという「共時性の原理」を引き起こしていました。
 後で分かったことですが、信用されていた我々の学年の一人が、学校の購買部から消しゴム一個を盗んだ疑いを掛けられたのが発端だったようです。現代の高校野球でも、子供とはいえ一つのふざけた行為によることでも、他者から見れば、妬みや嫉みの心も加勢して、大事(おおごと)にしてしまいかねません。そして、我々伝統を重んじる吹奏楽部も、全日本大会出場停止の憂き目に遭うやも知れません。そんな、こんなが重なって天ぷら棒の嵐が吹き荒れたのです。(後に判明したのですが、消しゴム盗難の犯人は別のクラブの生徒でした)
 コンサートマスターのシンゲンに聞くと、
 「これで、全日本大会の準備が整った!
と、悠然とした態度で語るのが、要領の良い(少し狡い)私から見ると、うらやましく感じたのが、今は懐かしい思い出です。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/