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今週の喝 第921号(2023.01.16~01.22)この世は全て催眠だ(662)〜得津武史とメンデルスゾーンはバランスが取れない!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(662
 得津武史とメンデルスゾーンはバランスが取れない!

 正月早々パソコンが不具合になり、「今週の喝」の送信が一日遅れたことをお詫びいたします。
 さて、得津武史先生の若かりし頃のエピソードを中心に、現在このコラムを書き進めております。
 得津武史先生の大阪音楽大学時代の師匠は、大阪フィルハーモニー管弦楽団を作られ、世界の最高齢の指揮者としてギネスブックに載った朝比奈隆先生です。お酒の席でのことですが、朝比奈先生が、
 「得津君のようなアラクレが、卒業コンサートで選んだ曲がメンデルスゾーンのピアノコンチェルトだよ。彼にメンデルスゾーンが似合うと思うかね?ワッハッハ……」
と、呵々大笑された朝比奈先生のあの笑い声は、いまだに私の耳に焼き付いています。
 卒業後すぐに、大阪は南田辺小学校の音楽教師となって先生業をスタートさせましたが、初月給の日に赤紙(召集令状)を貰い、わずか一ヶ月弱の教師生活でした。そして、簡単な教練の後、満州の地に軍馬の世話係として派遣され、そこで西沢連隊長から、軍楽隊を組織して兵や開拓団の一般民衆の士気を「鼓舞せよ」という命令の下、サーカス団に居た者やチンドン屋経験者などをかき集めて、一応形だけは作り、何の音楽を演奏しているか分かる程度にまで仕上げて一息ついていた時、いよいよ戦争も佳境に入り、日本本土もB29を初めとする空襲が日常化する状態になりました。
 そこで、音楽学校出身者ということで、戦闘機や爆撃機のエンジン音を聞き分け、大都市圏に空襲警報を発令する役割を拝命し、満州から生まれ故郷の和歌山県潮岬の突端に転任し、敵飛行機の襲来を大阪や神戸に知らせる役割を負っていたそうです。
 私は、先生と共にお酒が入るとその時代の先生の話を興味深く拝聴するのがとても楽しいひとときでした。

 

★★ジャズにはアドリブっちゅうもんがある!★★
 内地ではピアノを弾いて子供達に音楽をレッスンしていた先生が、召集令状一枚で軍馬の世話係になったのも私には、とても違和感がありましたので、先生に、
 「軍馬の世話とはどういうことをやるのでしょうか?」
とよく尋ねました。先生の回答は、いつも
 「ウマっちゅう奴は、心細やかやよって、よう便秘になりよる。それを放っておくと苦しみ抜いて死ぬ。戦場の満州平野をワイらと一緒にあっちこっち転戦している内に、情が移ってくるんや。
 それに天皇陛下さまから預かった兵器でもあるさかいになぁ。そうしたら、なんとかして助けなアカンという気持ちが起こってくる、そこで、軍隊の洗濯石けんを銃剣で削って、それを水で溶いて、それを上半身裸になって右手にヌサクる(塗る)。そして、エイ!とばかりウマの肛門に腕を突っ込む!そうして、彼奴(きゃつ)らの大腸の中にあるババ(糞)を掴んでは掘り出し、掴んでは投げ……!」
 このような話を、食事と酒の肴に楽しそうに話しておられたのが懐かしく思い出されます。
 ちょっと聞くと、食事中にウマの糞の話ですからグロいように感じますが、得津先生が話すと、まさしく“青春の一ページ”に変わるから素晴らしい話術です。かくして、ウマはこの世に一命を取り留めたのであります。
 得津先生の話を聞いていると、「これでは日本軍はアメリカに負けるのは当たり前!」と与太郎戦記のようですが、この風来坊的で楽天的な気質が、長期にわたる吹奏楽日本一を勝ち取る原動力となったのでしょう。
 そして、終戦を迎えてからは、昔取った杵柄……軍楽隊の経験を活かして、先生自身も満州ではトロンボーンを担当し演奏に加わったこともあるので、学校の先生に再び復帰したのですが、安月給ではやっていけないというので、敵性音楽である“ジャズ”ちゅうもんを演奏して、一稼ぎしようと企み、小学校の授業がはけると、進駐軍のキャンプに駆け込んでトロンボーン片手にジャズバンドを組織して頑張った話もしてくれました。
 先生は、正当な音楽?であるクラシックのピアニストですから、ジャズという音楽のジャンルには明るくなかったので、アメリカ兵と友だちになって、ジャズの楽譜を横流しして貰った時の話も底抜けに面白かったです。
 ジャズはジャズアドリブといって、その演奏者の独自性を出すことが魅力の一つです。その自由に吹く“アドリブ”の箇所は今では常識ですが、コードネームだけが書いてあるのです。しかし、何小節あるかを示さないといけないので、コードが変わる毎に全音符や二分音符の上にコードネームが書いてあるだけです。ジャズというものを全く知らない軍楽隊長は、トロンボーン片手に真面目な顔をしてその全音符や二分音符をプープーと吹いていたら、そこに居たアメリカ兵隊がブーブー言っていたそうです。
 ま、そんなこんなことがあって、ドンドン吹奏楽の世界にのめり込んでゆくのですが、こんな滑稽な失敗の積み重ねが独特の得津ismを作って行くことになるのです。

 

  この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/