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今週の喝 第908号(2022.10.17~10.23) この世は全て催眠だ(649)〜楽器パートの違いなど、どうでも良い!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(649
楽器パートの違いなど、どうでも良い!

 1980年の我がオーケストラ(ヴィエールフィルハーモニック)の正月初練習の時です。右斜め後ろ辺りから、時々不協和音のような音がするので、練習終了後、その方をチラリと睨むと、年齢40代後半のおじさん風の方がクラリネットを吹いており、ニッコリと微笑んで、私に名刺を渡すのです。
 我々音楽家は、名刺というようなものを持ち歩いていないので、受け取ってそれを眺めますと、大川創業株式会社社長・大川進一郎と大書してありました。そしてその名刺の裏には、何と10社ほどの会社を経営している大実業家らしいのです。
 私たちは、相手がどんなに社会的に立派な方でも、アンサンブルを乱す者には正直にその改善要求をします。今回もその方にケースbyケースで2ndクラリネットの役割をシッカリ伝えていましたら、話半ばで、
 「よう分かりました。私、オーケストラは初めて参加しますので、色々と教えておくんなはれ」
と、柔らかい大阪弁でたたみ掛けてくるのです。そして、最後に
 「もう一つ、お願いがおます。弟子にして下さい」
と、唐突に言うのです。
 私にしたら、自分はフルートで大川氏はクラリネットですから、お門違いな要求に感じたのですが、その訳を尋ねると、
 「こうして、オーケストラを後ろから見てますと、指揮者が全ての想いを伝えているのは当然なのですが、各部署にあなたのような指揮者の想いを書くパートに浸透させてゆく役割の人がいて、それで素晴らしいアンサンブルが成り立っているということに気付きました。オケにとってもの凄く重要な役割と思います。ですからフルートやクラの違いなどどうでも良いんです」

 

★★学校ではウソを教えられていた!★★
 さぁ、色々と注意勧告をしようと思って話し始めた矢先に、先方から、正直に素性を明かされ、弟子にまでなりたいとおっしゃるのですから、話はそこでストップ。その時は、大川氏の弟子入り意図はあまり良く分かりませんでしたが、
 「オケを見渡すと、鋭い洞察力で指揮者の補助的存在としてオケをグイグイ引っ張っていっているが故」
ということでした。
 次の日曜日から我が家でLessonすることを約束しましたが、一つ注意しようとする機先を制せられた形を取られると、心の流れが変わるものだという実感はありました。
 何の曲から教えて欲しいか大川氏に一任して、初練習の日我が部屋から前の道路を見下ろすと(私の部屋は3階)練習時刻の10分ほど前に、当時では超珍しかった高級車BMWの6シリーズが家の前に横付けされ、大川氏がやってこられました。
 部屋に入ってもらい、何の曲から練習を始めるのか尋ねると、
 「モーツァルト作曲クラリネット協奏曲イ長調の楽譜を取り出し、これをお願いします」
と、イケシャーシャーというのです。この間の練習の時の実力からいうと“まだまだ無理!”と言いたかったのですが、当時から人は努力次第でどんなことも可能になると思っていましたので、早速第一楽章からレッスンに入りました。
 そして、第1テーマで全くリズム感覚が逆さまなので、その日の2時間の練習は、初めの4小節の第1テーマのフレーズやリズム感覚の違いを伝えるだけで終わりました。
 私は、こと音楽になると絶対に妥協はしないことをモットーにしているので、どんなに初学者であっても妥協せずにLessonします。驚いたことにたった4小節を吹くだけのLessonに2時間を費やしても大川氏は、イヤな顔一つせず、真面目な態度でシッカリとついてくるのです。
 そして究極の秘訣とでも申しますか、マエストロ宇宿の持ち前……にも触れました。それはカウントの取り方に秘訣があるのです。通常のカウントは4拍子であれば、1,2,3,4,と数えますが、我が師は
 「それが違うのだ、どんな動作にも、またメロディーにも前準備が必要だから、全て“auf Tact!(アウフタクト)”前拍子からカウントする。だから、楽譜は1,2,3,4,となっていても実質裏拍より4,1,2,3,と感じて吹くことが大切!」
なことを伝えたのです。すると大川氏は、
 「ほな、今迄私たちは学校でウソを教えられていたんですか」
と言って、しばしの間、黙りこくってしまいました。私もこのリズムカウントを始めて師匠から伝えられたときは“絶句”してしまったのを懐かしく思い出しました。

 
  この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/