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今週の喝 第889号 (2022.06.06~06.12)この世は全て催眠だ(628)〜歌唱力抜群のサッチン(小林幸子)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(628
歌唱力抜群のサッチン(小林幸子)                                       

 阪神大震災で倒壊してしまいました(今はリニューアルされています)が、神戸国際会館大ホールで私が初めて小林幸子さんと出逢いました。現在の小林幸子さんとは違い、当時の彼女は東京から移動するにもマネージャーすら付かず、右手に衣装ケース、左肩にはショルダーバッグの出で立ちで、芸能人特有の挨拶「おはよう御座います」から始まりました。9才でデビューして御年23才……その第一印象は、背が高くとても綺麗な眼をしているにもかかわらず、何処かしら演歌の匂いのする、眼に輝きのない、私には初めてのタイプの女性でした。そして、独特の香りの香水が薫ってくる、“芸能界の人間そのもの”と感じました。
 そのプロファイルは、古賀政男先生にスカウトされたというのが彼女のプライドを保持していたのですが、それでも15年間という長きにわたってどの曲もヒットせず、失意の中に居たのです。日本を代表する作曲家に見いだされ、その楽曲がヒットしないとなると失望も一入だったでしょう。まだ23才という若さにして、その若さが感じられないのです。ですから、若い新進気鋭の作曲家に出逢っても“希望”を持てないのは当たり前でした。
 その頃の私は、師匠の宇宿允人先生に見いだされ、クラシックの世界では一応活躍はしておりましたが、金銭とは本当に縁のない世界ですから、その分、小林幸子さんより純粋だったと思います。その点、芸能界は先ず金銭からスタートしますので、彼女の失意は自分の芸術に対するものからきているのではありません。それ故、大先生の楽曲でヒットしなかった=自分の歌が悪いと解釈し、心が暗いのは自明の理であったでしょう。
 そんな彼女が、アルトサックスのイントロの後、第一声を発した途端、私の身体を電撃が走ったのです。一ヶ月前にシャンソン歌手の逸見朱子さんの歌と雲泥の差……(朱子さんの名誉のために申しますが、ジャンルが違ったのです)。その時、「歌が売れる」という観念は全く私の概念の中にはありませんでした。その時の気持ちは今も鮮烈な印象として残っています。
 ただ一言「上手い!」

 

★★3人(4人)でオールドパーを2本空けた★★

 このコラムにも以前書きましたが、私は吹奏楽の名門出身で、幼少期よりクラシック音楽に憧れて、そのジャンルの楽曲に慣れ親しんできました。しかし、私のところに来る作曲を始め音楽の仕事は、何故か「音頭」とか「演歌」などの和製ポップスです。これも何か、大きなうねり(流れ)がその方向に向かわせたように感じてなりません。ルーマニアに行った時も、演歌的なジプシー音楽に感動し、帰国後、後援会の方に連れて行ってもらったナイトクラブでも「カラオケ」がありました。そんな環境に接していたので、よりサッチンの歌の上手さが伝わってきたのだと思います。
 舞台終了後、高田先生はサッチンに「これからの予定は?」と尋ね、何も予定は他に入っていないと聞くと、私たち二人プラス第一プロダクションの佐伯さんを伴って、今日唄った「おもいで酒」の録音テープ(カラオケ)を持って、高田先生行きつけの“三宮レコード”を訪れ、そこのママさん店主に聞いて貰いました。
 「いや~、これ先生、これエエ曲やないですか!」
と、耳の肥えたママ店主は言います。またそのまま店主は、小林幸子のことをよく知っていて、デビュー曲の「うそつき鴎」も知っていました。
 そして、食事をご馳走になった後、三宮のカラオケバーでしこたまサッチンの歌を聞きました。どの曲もそのフィーリングを正確に掴み、「上手い!」の一言です。
 先般も申しましたが、高田先生は下(げ)戸(こ)(お酒が飲めない)です。にもかかわらず、私とサッチン、そして佐伯さんの三人でその日は、オールドパー(ウイスキー)が2本空っぽになるくらい盛り上がりました。それを眺めていた作詞家高田直和先生は、3番の歌詞の4行目「未練は捨てたはずなのに」を「暮らしも荒れたこの頃は」に変えたからすごいです。サッチンも心を分かってくれる仲間との酒に心を開いて大いに酔い潰れてしまいました。
 私は単純な人間ですので、自分の歌を自分のイメージ通り歌ってくれるサッチンの歌声が愛おしくなりました。また、彼女も「おもいで酒」が気に入ってくれたようで、録音仕立てのカラオケで5~6回カラオケバーで唄っていたように思います。
 そして、次の日から佐伯さんの意地の見せ所……サッチン売り込み作戦がスタートしました。事後に聞いた話なのですが、あの世界はとても冷淡な世界で、たとえ歌がどんなに上手くても売れない歌手は振り向きもされません。従って、その当時のサッチンは、第一プロダクションを最後のレコード収録を残して馘首(クビ)というところにあったそうです。そのレコードというのは、TBS系のお昼の番組でドラマ「母子草(ははこぐさ)」のテーマソングで、またこのタイトルがややこしい……「6時7時8時あなたは」というポップスでした。お昼のドラマのテーマソングは努力しなくても大体2万枚くらいは売れる美味しい商品です(手汚さずに売れるものをこの世界ではこのように呼びます)。そして第一プロと小林幸子の契約は終了というところまできていました。さて、ここで連続して“奇蹟”が起こります。

 

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/