M&Uスクール

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今週の喝 第850号(2021.8.2~8.8)この世は全て催眠だ(591)〜一心不乱、念ずれば花開く!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(591
一心不乱、念ずれば花開く!

 人生とは真に不思議なもので、高校の時、大学受験もそっちのけで周囲の言うことも聞かず、自分の思い通りのサウンドを追い求めて編曲の勉強(和声学、対位法、楽器法etc.)に精を出し、その所為で総ての大学受験に失敗し、当たり前ですがその自分のアホさに辟易としながらも、
 「何故、今やらなければならないことに、自分の心が向かないのだろう」
と、自分の心でありながら、自分自身でコントロール出来ない矛盾に、また一つの研究課題が私の中で顔を出しました。
 世には、心理学や脳科学など「心と脳」の関係を解明しようとする学問が数多(あまた)存在しますが、当時、それらの書籍を買ってきては途中で放棄してしまう、飽き性の自分に嫌気がさしました。
 「確かに、脳内ホルモンの話は原因と結果としては理解できるが、例えば“人を好きになる”のは何故かといった素朴な疑問には、それは成長と共に思春期に差し掛かったからというような、何か誤魔化しのような回答だ」
と自分を正当化し、“心の闇”ともいうべき得体の知れない自意識の捻くれ癖が、常に心を支配していたようです。
 「こんなに一所懸命、音楽について勉強しているのに、周囲は私を(受験の失敗故)アホという!でも、友人達のように大学受験の時に受験勉強をしようとしても、頭の片隅でいつも私の求める音楽が鳴り響く。そして、こちらに私の心は惹かれてゆく」
と、悶々として自己葛藤を繰り返していた時、我が生涯の師となる宇宿允人先生にスカウトされたのです。その時は、死中に活を求めるような心境でしたので、水を得た魚の如く、一心不乱に師に付き従いました。そして自分を洗いざらい曝け出した結果、私の笛だけではなく、それまで勉強してきた編曲や作曲の技術や感性まで高く評価して下さり、
 「今度の8月の一週間程、沼津の別荘へ来なさい」
と、誘いを受けたのです。

 

★★仕事完遂力が生まれた!★★
 「そこは前は海だか、ゆっくりすれば良いよ。しかし、私の手伝いをしてもらいたいので仕事はして貰うよ。今度、バレエ音楽「ゆき女(じょ)」の作曲を頼まれたので、その編曲をチェロの西幹夫君と一緒に手伝って欲しい」。
 大学を棒に振り、今風に言うとアスペルガー的扱いを受けてきた私は、師のこの申し出を二つ返事で了解し、いざ沼津の宇宿家の別荘に赴きました。私のことを心より認めて下さり、また、師の作曲のオーケストラ編曲まで依頼されたあの時の快感は、私の身体を今も揺さぶり続けています。
 「やっと、私のサウンドをプロのオーケストラで表現できる時が来た」
 あの時の歓びは一入(ひとしお)でした。今迄、無用の長物のように扱われていた音楽の勉強が本当に役に立つのです。そして、「何故、私は普通の勉強に自分の心が向かなかったのか」と自問自答しました。そして、その回答は、
 「このように私を生かす道に誰か(もしかしたら神さま)が線路を引き、その上を私は走っているのだ」
と、些か宗教めいた解釈が脳裏を過りました。
 後年、哲学に“raison d'être”(レーゾン・デートル:存在意義)という考え方があることを知り、「人間の氣が一つの方向を向けば、念願を実現させるエネルギーが生じる」ことを知りました。しかし、その時は、音楽を作るという歓びが無我夢中の心境を生み、必死で音符と格闘しました。
 「ゆき女」は、全曲で2時間弱の大作で、20曲弱で構成されていました。そして、師を含めた3人がかりで編曲に取りかかりました。始め渡された作曲ラフ(粗書き)は、主旋律(メロディー)の他にイントロ(前奏)やオブリガート(裏歌)など割合にしっかりと指示が書いてあったため、スムーズに書き進めることができました。しかし、後で分かったことですが、作曲がまだ半分強しかできていないので、週の後半辺りから、師がその場で頭に浮かんだメロディーを口ずさむと同時に楽譜に写し、即編曲!です。未だ未完成のメロディーの箇所を「ここのメロは……」と尋ねると、「君が作れ!」と言われることもあり、まるで,ゴルゴ13の“さいとうたかおプロダクション”さながらの仕事ぶりでした。
 最後の二日は、弦楽器の相愛学園のみんなも試奏のため呼ばれ、別の部屋で、音符確認の合奏をしています。休憩時など、同級生の彼女たちは、
 「梅忠、ホンマに大変な仕事をしてるね。私ら出来ひんから頑張ってね!」
と、労いやら邪魔やら分からない声援を送ってくれました。そして、時間の合間を見て、彼女たちは私を尻目に海水浴です。しかし、不思議な事に羨ましさなど全く湧いてこずに、むしろ編曲という仕事をしていることに自負心と優越感が湧き上がってきました。
 そんなこんなで、美しい海に迎えられる事もなく、結局10日間かかって「ゆき女」のオーケストラアレンジは完成しました。その時、初めて感じたのは、「達成感・充実感・満足感」が心を満たした時、人はまた次の挑戦をしようとするエネルギー(モチベーション)が、肚の底からホツホツと湧き上がってくることです。やりきった者だけに、神から与えられる感性であると今も信じています。
 この時以来、途中で投げ出したり、挫折したりすることは、今の今迄一切ありません。仕事完遂力が宿った瞬間でした。

 

     この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/