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今週の喝 第833号(2021.4.5~4.11)この世は全て催眠だ(574)〜「天佑神助」が起きた!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(574
「天佑神助」が起きた!

 東京・大阪では花は散り、既に5月の陽気の日も屡々です。
この頃になると、毎年思い出すのが人生であっという間に初レコーディングが決まったことです。
 私の二十歳前半ほど、めまぐるしく事象が巡り、人生の方向が変わった時節はないでしょう。
 マエストロ宇宿允人先生に突然スカウトされ、死に物狂いで鴨川堤でバッハの「管弦楽組曲第二番」を練習し、その成果を認めて貰って、フルーティストとしてデビューできたのを皮切りに、次のコンチェルト(協奏曲)のステージを貰った途端、ヴィエール室内合奏団初のレコード録音に起用されたのです。
 そして、このコラムを読んで下さっている方々も覚えているでしょうが、私がデビューしたときには、まだ自分のフルートをもっておらず、西宮市吹奏楽団から提供されていたものを、こっそりと使っていた次第です。
 とても良い楽器だったのですが、市吹の練習に行かなくなれば、いくら我が師・得津武史先生の配慮であっても、いつかは返還を求められることは必定。しかし、当時の私はそんな事を考える余裕もなく、Everyday Exercise, Everynight Exercise(練習に次ぐ練習の意で、私は「エグいでー、エグいな-」と呼んでました)で明け暮れておりました。
 そうして一心不乱に音楽に集中していた私は、2月の終わり頃、我が父から
 「お前の交通事故の裁判が結審して、慰謝料が100万円お前に払われることになったゾ」
と、連絡を貰いました。そうです。大学受験に全て失敗し、失意の中で高校を卒業した年の4月1日。その前日に父親との大喧嘩の末、無理矢理家業「畳屋」の手伝いを強要され、嫌々ながら畳の引き取りに行ったその帰りに遭遇したあの交通事故です。

 

★★人間(じんかん)万事塞翁が馬★★

 あらゆる災害や災禍に巻き込まれる時は、必ず前兆現象があると、この交通事故から私は学びました。
 その事故では、頭を強打し「逆行性健忘症」で約一週間の記憶喪失になったもので、退院後も吐き気や目まいに悩まされていました。その裁判が結審し、慰謝料が支払われるというのです。私は、その報に接した足で、念願の自分自身のフルートを手に入れるため、京都三条にある十字屋楽器店に赴きました。
 いつも、ショーウインドウにキラリと輝いて鎮座していたフルートが、忌まわしいと思っていた事故によって自分のモノとなったのです。これは天からのご褒美としか考えられません。
 そして、その時もまた新たなる出逢いがありました。京都十字屋楽器店の管楽器売り場で、陳列してあるムラマツ製のStarling Silver(総銀製)のフルートを10本あまり試奏していたとき、作業服を着た店員とおぼしき方が、
 「エエ音してるな。アンタは何処の音楽大学や……?先生は誰やのん?」
と、親しげに話しかけてくるのです。私は、
 「音大には行ってませんしフルートの先生も居ません。けど、この間ヴィエール室内合奏団の指揮者、宇宿允人先生にスカウトされました。でも、自分の楽器をまだ持ってなかったんですけど、交通事故に遭ったときの慰謝料が不意に入って来たんで、飛んでこちらに楽器を買いに来ました」
と素直に事情を話すと、その作業着の店員さんは丁寧に名刺を渡して、
 「今度、アンタが演奏するシュターミッツのコンチェルトをちょっと吹いてみてや……!」
と店頭で言うのです。3階の管楽器売り場には10 人ほどの客がいましたが、私は新しく手にしたムラマツ製のフルートが嬉しくて、思いっきりコンサート宜しく笛を吹きました。すると、店内にいた人みんなが私の周りに集まってきて真剣に聞いてくれるのです。それに気を良くした私は、ご存じの通り“調子乗り”ですから、一楽章から三楽章まで全部演奏しました。その時、3階で何か起こっていると察した十字屋三条店の店長(管楽器主任?)までもやって来て、ちょっとした人集(ひとだか)りになりました。
 この時、私に名刺をくれた人は、国原東雲(くにはらとううん)さんという方で、管楽器修理にかけては日本でこの方の右に出る人はいないというほどの名人だったのです。そして、もう一方は確か河合さんという名前でした。この両名と懇意になり、色々と融通を付けて貰う長いお付き合いになるのですが、私の演奏が終わるやいなや、河合さんが国原さんに、
 「なぁ国さん、音大にも行ってないのにこれくらいの演奏を、この若さで熟(こな)すというのは、これはタダ者やない。将来、有名な演奏家になるで。そやから、こんな店頭に並んでいるやつ(フルート)やったら、いつか物足りんようになるよなぁ。」
 「ホンマにその通りでんな……!」
 「そこで梅チャン(突然親しげに)、今日ここでムラマツのStarling Silverハンドメード(受注手作り生産)フルートを注文すると良(え)ェ。しかし、注文しても出来上がるのに8ヶ月ほど掛かるから、今吹いてるフルートを持って行き……。ほんで、ハンドメードが出来上がったら、キズ付けへん限りそのままの値段(12万円)で引き取るからな。そないしぃ……!」
 と言う訳で、突然、世界に冠たるフルートメーカー、村松フルート製作所製のハンドメード、ヘビー、H(ハー)管付きをホイホイと注文した(さされた?)のでありました。当時の金額で、確か80万円ほどだったと記憶します。ヘビーというのは管厚が普通のモノより分厚く、私の好きなドイツ的な音色がするという触れ込みで決めました。そしてH(ハー)管とは、普通のフルートよりも半音低い音が出せるもので、私の大好きなドップラー作曲「ハンガリー田園幻想曲」がバッチリ吹ける楽器なのです。
 この楽器は、今も所持しており、時折コンサートに使っています。そして、また後日話しますが、私の音楽の“守り本尊”となるのです。
 
     この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/