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今週の喝 第815号(2020.11.30~12.6)この世は全て催眠だ(556)〜少し興奮気味で「人事を尽くして天命を待つ」〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(556
少し興奮気味で「人事を尽くして天命を待つ」

 さて、私のプロフェッショナルとしての初コンサートです。軽い緊張はありましたが、鴨川での練習や浅井芳子先生との対話、長尾憲子さんとの緻密な練習など、まさに、中学校の時のコンクールに臨む態勢と同じように「人事を尽くして天命を待つ」心境です。
 コンサートは、午後7時から本番。その為に午後3時から5時半までゲネプロです。ゲネプロとは、ドイツ語のGeneralprobe(ゲネラールプローベ)の略で本番前の通し練習のことです。
 会場は、大阪心斎橋にある三木楽器のコンサートホール。主催は労音(勤労者音楽協議会)協賛は三木楽器で、その第一曲目が私の演奏するバッハの管弦楽組曲第二番ロ短調です。その日は意気込みも手伝って、エコーの具合や観客の人数を確認しようと、会場には約1時間半前に入りました。
 そして、控え室に入ろうとしたときです。すでに我が師・宇宿允人先生は到着していて、事務局の方から先生の大きな声が聞こえてくるのです。何だろうと思って事務局のカーテン越しに耳を際立たせると、大阪労音の主査と口論になっているではありませんか。コンサートを控えて一番落ち着かなければならない時に、マエストロが主宰者と喧嘩しているのです。
 これはただ事ではありません。何が原因かと思い、耳をダンボにすると、時々私の名前「梅谷忠洋」がその口論の中に聞こえてきます。
 その内容を、掻い摘まんで申しますと、
今回の労音主催のヴィエール室内合奏団コンサートでは、バッハの管弦楽組曲第二番を、東京交響楽団の首席フルート奏者の方が演奏することになっていました。しかし、その音楽解釈の違いから、マエストロと意見が合わず、練習途中で楽器を片付けて帰ってしまったというのです。それは丁度、私が今津中学校でマエストロにピックアップされてすぐ後のことのようでした。

 

★★私がソリストに選ばれたその内実は……!★★

 マエストロ宇宿は、何事に付けても信念を持って進む人です。こと、音楽に於いてはなおさらで、常に完璧を目指して邁進する先生です。ところが、そのフルーティストは大勢の日本を代表する先生方の下で学んだため、非常にアカデミック(学閥的)な考えで、オーケストラがソリスト(独唱者)に合わせるものだという主張を崩さなかったようです。ヴィエール室内合奏団は、そういった因習を打破しようとする若き音楽家の集団でしたので、やむなく決別する結果になりました。
 そして数日後、私はマエストロと邂逅する(出逢う)ことになります。初めはプログラムの変更を考えていたようなのですが、私の音を聞いて、「これはいける!」と先生は感じての起用となりました。
 ソリストの変更……それを協賛の三木楽器には伝えていたのですが、店長はそのことを主宰者である大阪労音の主査に伝えていなかったのが口論の発端でした。おおまかに、大阪労音主査は、
 「なんであの様な名もない、しかも弱冠20歳の何のキャリアもない子供をソリストに使うのですか。それに、私はソリストが変わることは聞いていません」
これに対して、我が師・宇宿允人先生は、
 「彼は、名もないかも知れないが素晴らしい音楽感性を持ち、それに努力家だ。現に、ここ4回の練習でも私の言ったことは総て完璧に直してきた。あなた(主査)は、彼の音楽を聴いてから発言して欲しい。それにこのことは、私のマネージャー盛田貞代から三木楽器の大阪支店長に変更連絡はしているはずだ」
すると、主査は
 「私も、マネージメントのプロです。チケットの売れ具合も考えてやらないと商売にはなりません。支店長はどうしてそれを伝え忘れたのですか」
と三つ巴の口論でした。そしてこの口論に決着を付けた言葉が、
 「梅谷君は将来きっと日本の代表的フルーティストになる。あなた達は私に文句を言うなら彼が今日演奏するバッハを聴いてからにして欲しい」
とマエストロはすごい剣幕で自分の思いを通しました。もしかしたら、次のコンサートから労音との契約がキャンセルになるかも知れないにもかかわらず……。
 その一部始終を事務局の陰で聴いていた私は、我が師の私に寄せる熱い言葉に思わず涙が流れてきました。その時、私は心の中で、
 「先生、僕は喩え先生のおっしゃることが総て日本の音楽界と違っていても、先生について行きます」
と、浄土真宗開祖・親鸞上人が、法然上人に誓いを立てたのと同じ感覚が湧き上がってきました。
 そして、気を取り直して楽器を出し、控え室でウォーミングアップをしていると、事務局に居たのは宇宿先生一人だと思っていたのがコンサートマスターの松永みどりさんも一緒だったようで、私に近付いてきて、
 「外で聞いていたんでしょ。そういう訳だから、あなたは今は何も気にせず、只々バッハさんと一緒にいてね」
と励ましの言葉を頂戴しました。

 

     この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/