M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第812号(2020.11.9~11.15)この世は全て催眠だ(553)〜ヴィエール室内合奏団〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(553
ヴィエール室内合奏団

 ヴィエール室内合奏団……神戸女学院の卒業生が主体になって作った弦楽合奏団です。コンサートマスターは松永みどりさんで 15 名足らずの室内合奏団です。ヴィエールとは、ヴァイオリンの原初的な呼び名で、ヴァイオリンのルーツ的呼び名です。
 宇宿先生は、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団の常任指揮者レナート・バーンスタインの下で研鑽を積んでいたのを、大阪フィルハーモニー交響楽団常任指揮者・朝比奈隆先生がその才能と噂を聞き、大フィル専任指揮者として招聘(しょうへい)したのです。
 そして帰国して就任間もない頃、ベートーヴェンの「荘厳ミサ曲」のコンサートで、その指揮ぶりに対して大阪文化祭賞を受賞した新進気鋭(38歳)の指揮者でした。そのコンサートを聴いていた卒業間もない神戸女学院卒業のヴァイオリン奏者松永みどりさんが、その音楽に感動し、教えを乞うたのが始まりです。
 この小さなオーケストラが、私のプロとしての初舞台となります。その練習会場は、大阪四つ橋にある貸しビルの2階の時間貸しのホールです。コンサート一週間前の初練習の日、午後6時からの練習に会場到着したのが4時45分。少し早いかなと思いながらも、吹奏楽部の習慣から、合奏一時間前はウォーミングアップです。しかし会場に着くと、既に24~6歳の女性の方が椅子を並べたり、譜面台を組み立てたり、指揮台を置いたりと合奏の準備に取りかかっています。私も早々に挨拶を終えて、合奏準備のお手伝いをしました。この時、一番大変だったのが、私の演奏するバッハ「管弦楽組曲第二番ロ短調」に用いるチェンバロ(ピアノの原型の楽器)の搬入で、女性ばかりで2階まで運び入れるのです。私も手伝おうとしたとき、2ndヴァイオリンの黄(こう)英美(えみ)さん(ヴィエールの名付け親)が、
 「指を怪我したら大変だから、手伝わないで……!」
と、ピシッと私に言います。プロというのは不慮の事故のことまで考えながら行動していることに恐れ入りました。こうして、合奏準備が整った時点で、皆、自分のお復習(さら)いをしながら、指揮の宇宿先生を待ちました。

 

★★冒頭、ロ短調の和音の迫力に大感動!★★

 ヴィエール室内合奏団は後々に発展して、ベートーヴェンクラスの交響曲が演奏できるヴィエール・フィルハーモニック(総勢40名ほどのオーケストラで、足らないパートはエキストラを呼ぶ)へと発展し、諸事情の後(詳細は後日)、現在では関西フィルハーモニー交響楽団へと成長しました。この室内合奏団のマネージャーは大阪御堂筋本町の伊藤忠ビルの地下で洋装店「ハロル」を営む盛田貞代さんで、大阪アイビー・コーラスという市民合唱団の一員でした。彼女もまた、宇宿先生の演奏に惚れ込んでマネージャーという大役を引き受けたのです。このように、ヴィエール室内合奏団は有志による手作り合奏団で、その演奏に感動した後援会の方々、そしてその方達の志納金やコンサート収入で運営されている私設楽団でした。(後に、大阪市の援助を受けるまでに発展します)
 私は、吹奏楽出身ですから、オーケストラには憧れがあり、中学の時、東京のTBSのスタジオで聴いた千葉県の銚子第五中学の管弦楽部とのコラボ以来その憧憬は、やがてヴァイオリンの音色への編曲技術の高貴なる挑戦へと変化して行きました。そうです、吹奏楽に用いる楽器でどうすれば弦楽器のようなサウンドを生み出せるかの研究を始めたのです。
 そんな私の目の前で、松永みどり先生始め多くの弦楽器の方々が思い思い、自分の楽器調整のウォーミングアップをしているのです。そんな姿を眺めているだけで、私は陶酔の境地に入り、それはそれは夢見心地でした。
 ヴィエール室内合奏団の編成は、1stヴァイオリン4名、2ndヴィオリン3名、ヴィオラ2名、チェロ2名、そしてコントラバス1名、それにバロック音楽特有のチェンバロ(この頃のチェンバロ奏者は長尾憲子さん)が加わります。そして、フルートと指揮者で合計 15 名です。
 やがて、マエストロ(指揮者)が会場に到着し、私を正式にみなさんに紹介して下さって、いよいよ BACH の練習に入りました。宇宿先生の振り下ろすタクトは、私がその年の 8 月最後の日に今津中学でワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の冒頭のそれと同じく、そのH (ハー)moll(モル)(ロ短調)の荘厳な主和音が、たった13名の弦楽器だけの演奏なのに大オーケストラのように響き、私は、その迫力にウットリとしてフルートを吹くことを忘れてしまいました。
 先生は、サッと指揮棒 を下ろして
「何をしているんだ、フルートを吹くんだ!」
と、開口一番叱られてしまいました。私は、
「余りにも迫力のある和音に、聞き入ってしまいました。スミマセン・・」
と言うと、みんなからドッと笑いが出て、
「素直な奴だなぁ!感動して居(おら)ずに吹くんだ」
と促され、練習はスタートしたのです。

 

     この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/