M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第798号(2020.8.3~8.9)この世は全て催眠だ(539)〜謹んで心よりご冥福をお祈りいたします〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(539
謹んで心よりご冥福をお祈りいたします

 中華民国元総統李登輝(りとうき)先生(リー・テンフィ)が7月30日、97歳で逝去されました。1923年(大正12年)、日本の統治下にあった台湾に生まれ、今の京都大学農学部に入学。太平洋戦争中は旧日本陸軍に入隊し、日本で終戦を迎えました。日本統治時代の名前は岩里政男です。台湾に戻り研究者として活動した後、政治家に転身し、1988年台湾総統に就任しました。
 李登輝先生と私の縁は、細い糸かも知れませんが、2003年(平成15年)1月10日、「日本人らしく凜と生きる“武士道の智恵”」を出版した同日に、同じく日本武士道を題材とした書籍「武士道解題:ノーブレス・オブリージュとは」が発売され、大阪梅田紀伊國屋の新刊コーナーに2冊が同時に並んでいたのです。そこで私は、大胆にも住所を「中華民国、台北市」、名前を「元総統・李登輝先生」として、自分の執筆した「武士道の智恵」をささやかな献呈文と共に送りました。
 すると、一ヶ月ほどして秘書の方から丁寧なお礼文が届きました。その内容は、
 「とても分かり易く書かれた“武士道の智恵”を楽しく読みました。これらが中高生に読まれることを祈念します。これからも、素晴らしい日本文化を世界に流布される努力を期待します」
という丁寧な内容に感動をおぼえたのを昨日のことのように思い出します。李登輝先生は、本当にきめの細かい感性の持ち主で、世界情勢や日本のことに関しても全く偏見を持たず、戦争経験があるにもかかわらず正視眼で日本の良さを指摘して下さった人間味溢れる最高の人物です。

 謹んでここに、李登輝先生のご冥福をお祈りいたします。

 

★★オーケストラを操ることは経営とまったく同じ★★

 さて、話を私の生涯に最大の影響を与えて下さった、得津武史宇宿允人、両先生の出逢いに戻します。
 私が20歳の夏の吹奏楽コンクール兵庫県大会で、いつもなら楽勝の今中吹奏楽部を4位という関西大会に出場できない順位をつけたのが宇宿允人先生でした。今津中学の関係者は皆、私が中学3年生の時の「涙の仙台コンクール」が胸を去来しました。9人いる審査員の中で、たった1人山田一雄先生だけが、極端に悪い成績を点け、当時合計点方式で採点していたため、僅差で2位に甘んじるという苦い経験です。

 また、宇宿允人先生については後日詳しくお伝えしますが、その時は、元NHK交響楽団首席トロンボーン奏者で、一念発起してニューヨークフィルハーモニーで指揮者として研鑽を積み、その最中に大阪フィルハーモニー交響楽団の創設者・朝比奈隆先生に招(しょう)聘(へい)された当時38歳の新進気鋭の指揮者、という情報だけが入ってきました。
 その宇宿先生にレッスンをお願いして驚いたことは、「指揮一つで楽団のサウンドが全く変わる!」ことでした。私たちはそれまで、音楽は「リズム・メロディー・ハーモニー」という音楽三大要素を丁寧に醸し出せば素晴らしいものが出来上がると教え込まれ、そこに個々の技術を血を吐くような練習で鍛錬することで一流になれると信じてきました。しかし、そこに「迫力・情緒・感性」といった心の部分が作用することで、誰にでも違いが分かる、これほどまでの差異を見せつけられたのです。
 常人は「音楽に情緒は当たり前!」と考えているでしょうが、楽器は中々奏者の思惑通りに鳴ってくれません。その内に、音楽本来の心の部分が疎かになり、技術習得に走り、難しいパッセージ(楽節)を早く正確に演奏できれば“名人”と思うようになりがちです。それは、現代の経営者が「金儲け」が上手ければ、素晴らしいと思うのと同じです。
 宇宿先生の初レッスンの日、私が感じたことは、楽団(たとえば吹奏楽)というのは、45人が一つになることで素晴らしい音楽が奏でられると思っていたのが、吹奏楽という一つの楽器が45人で出来ていて、それぞれ一人ひとりが同じ思想と感性で一つの楽器となることでした。それは、ピアノと同じで、88の鍵盤で出来ているように思いますが、その一つひとつの鍵盤がそれぞれの楽器で、あの巨大な箱の中には88人の演奏者がいるのと同じなのです。それをピアニストが10本の指で奏でることで、一つの音楽になるのです。ピアニストはオーケストラの指揮者同様、その楽器に精神を吹き込みます。
 単純に言いますと、「100人のオーケストラ」ではなくて、「オーケストラという一つの楽器」なのです。
 この初練習の日、宇宿先生は訳の分からないクニャクニャした指揮で、生徒達に指示を与えるのですが、その通りに演奏しようとすればするほど、「何処でどのように吹いて良いのか」分からなくなります。このあたり、子供(中学生)の感性は見事です。分からないのなら、隣のメンバーの音を聞き、指揮が不明瞭ならば、指揮者の表情や体つきでその意図を汲もうと真剣に挑みかかりました。宇宿先生の術中に填まったのです。
 私はその練習で、“音楽の神髄”にはじめて触れた気がしました。指揮者は命令者ではなく、意図を伝える発信者でなければならないのです。これは、現代の経営者の在り方に、完璧に通じるものです。

 

       この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/