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今週の喝 第789号(2020.6.1~6.7)この世は全て催眠だ(530)〜人間の成長に必要なビタミンは“苦”!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(530
人間の成長に必要なビタミンは“苦”!

 月日は百代の過客にして行き交う人もまた旅人なり、
 舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いを迎ふる者は、
 日々旅にして旅を栖(すみか)とす。

 ご存じ、これは松尾芭蕉の「奥の細道」です。こうして「今週の喝」を毎週書きながら、自分が歩んできた半生を思い出し、これからの人生を歩む後進たちに、この世はあっという間に過ぎ去って行く、しかし、そこに多くの出逢いがあり、また、自分から求めることによって、その出逢いを「邂逅(かいこう)」(運命を変えるような出逢い)とする事の重要性を我が経験を凡例(はんれい)として、生意気ながら日々記しております。
 まさに、芭蕉の言うように我々は、旅人のように定住する場所を探すことで、そのほとんどの時間が過ぎてしまいます。ですから、ボーッとしているとあっという間に老死が忍び寄ります。そこで、人生に於いて最も注意しなければならないことが2点あると私は気付きました。
 先ず第一に、好き嫌いがあると、嫌いなモノは除外しようとする心が働きますので、単純計算でも出逢いの二分の一しか、邂逅に結びつけるチャンスがなくなることです。
 私も子供の頃は食べ物に於いても、対人関係に於いても、本当に好き嫌いが多く、人から見れば我が儘な性質でした。このような性質に有無を言わせずグイグイと私の人間改造をして下さったのが、今津中学校吹奏楽部顧問の得津武史先生です。先生は一つの目標を設定し、そこにシッカリとした目的意識(意志)が在れば、自分の心が陶冶(とうや)され(鍛えられ)、その願望に到達できることを身体を以て教えてくれました。単純に言うと、やらない、できないならば頭に“天ぷら棒の嵐”が吹きまくったのです。
 第二は、自分の「人生に不必要な事は起こらない」と信念化して、すべての事象を受け入れて成長の糧とすることです。
 「面倒臭い」「無理!」「自分には関係ない」などと思ったときは、只々天が与えてくれたチャンスを棒に振っているだけです。お釈迦様が「苦集滅道」と四諦(したい)の悟りを開かれたのは、人間の成長のためには“苦”に挑戦し、“苦”を乗り越え、それが“苦”にならないくらい自分自身を鍛えることなのです。

 

★★「その音が欲しいからや!」★★
 私は68年間の自分の人生を振り返ってみると、幼少期は急性腎炎などの病気に罹り、入院40日といったように身体が少々弱かったために、家の中に引きこもり、ふすまの敷居にビー玉を転がして遊ぶようなマイナーな子供でした。しかしそれが高じて、より軽快に転がるには「敷居に蝋(ろう)を塗れば良い!」などと研究し、発想を浮かべては工夫をする性質が培われましたので、そこに「面倒臭い、無理」などと思う概念は、生まれませんでした。そして、何事も上手くゆかない時は、自分が癇癪(かんしゃく)を起こしたり、途中で放り投げた結果だということを知ったのです。
 ですから、後年になって作曲や編曲の仕事をする時に、周囲の人から見ると、気の遠くなるようなスコア(総譜)も仕上げることができました。
 それは、小学5年生の時に聞いた、ドヴォルザーク作曲「新世界交響曲」にも(当たり前のことですが)楽譜(スコア)があることを知り、まだ、楽譜もろくに読めないのにも拘わらず、近所の新響楽器店にミニスコアを買いに行ったのを鮮明に覚えています。そして、ページを開いて、音楽に合わせて音符を辿ってゆくと、ただただ
 「私が感動した、この交響曲を作った人(ドヴォルザーク)は、普通の人間が思いもよらないような細かいところまで気を配り、私たち凡人が意識しないとほとんど耳に残らないような所まで、色々と考えている……いや、こんな細かな、目に見えないような所がいっぱい集まって、主になるメロディーが格好良く聞こえてくるのだ!」
ということが、分かったのです。
 そして、我が今津中学校吹奏楽部が日本一になり、その演奏が見事な裏には、第一に得津武史先生の指導による猛烈な練習があることは誰もが知っていましたが、その影に、大阪市音楽団の(当時)コンサートマスター・木村吉宏先生のそれは緻密な編曲があって初めて成された成果だということを、指揮台に置かれた木村先生手書きの40段のスコア(総譜)を見て気付いたのです。私が吹くフルートの1パートは、わずか40分の1に過ぎない……こんな気の遠くなるような作業を木村先生はどうしてできるのか?、いや、やろうと思うのか?、そして最後まで完成させられるのか?と考えていた丁度その時、木村先生が練習場に入ってこられたので、単刀直入に尋ねたところ、
 「その音が欲しいからや!」
という、簡潔な答えです。そして、後日、楽器修理で大阪心斎橋のヤマハに行った時、楽譜売り場で、ワーグナー作曲の楽劇「ニーベルンクの指輪」のスコアを見つけ、血が凍りつくような衝撃に晒されました。
 百科事典4冊はあろうかと思える膨大な楽譜量で、演奏時間は17時間以上掛かります。これを全て、「その音が欲しいから」という、一人の人間の発想と願望、そしてそれに向かう努力が成しえた業の結集なのです。
 この時より、自分の考えや行動がゴミのように小さくつまらないものに感じだし、また真逆に、こんな偉業をなす人が人間関係の好き嫌いなど、どう考え、どう処理していたのかと中学2年生の私は考えました。それが、現在の私の起因になりました。
 わずか40分の1のフルートパートすら、満足に演奏できない……自分の矮小さに気付いたからこそ、今迄、何とかへこたれず、諦めず、やって来たのだと思います。
 好き嫌いを無くし、“苦”と感じることも自分に必要だと解釈して、前進することで、上には上がある人間社会を乗り越えることができると感じた瞬間でした。後に、お釈迦様「三世両重(さんぜりょうじゅう)の因果」(過去・現在・未来に於ける原因と結果の法則)を説いたと知って、これ以外に人生成功の秘訣はないと確信を持ったのです。

 

       この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/