M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第474号(2014.5.19〜2014.5.25) この世は全て催眠だ(216)〜実践!暗示ハイテクニック!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(216
〜実践!暗示ハイテクニック!

 さて、先週お話ししました、癌患者、花屋のジョーに、エリクソン博士がほどこした“語りかけ”についてお話ししましょう。
 余命一ヶ月と告げられ、喉も切開手術のため口もきけないジョーに、巧みな暗示語で彼の気分を和らげ、生きる意欲を喚起させて生命力の活性を試みたのです。それは、彼が最も好み、生涯掛けて取り組んだ土地と植物の成長、美しい花……そのことを博士は話題化することで、ジョーの内面にチューニングしてゆきました。
 以下に示すオレンジ色の言葉に注意して下さい。これがジョーの無意識にアプローチする暗示メッセージになっています。
 「ジョー、心地よく感じて下さい。希望や満足感、そして安らぎや安心を得ることは、そんなに難しいことではありませんよ」
と、主張しています。
 
 ジョー、私が今から話すことは、あなたが今までしてきたこと、そう、トマトの育成についての成果です。その話は、あなたに安寧をもたらし、心地良くなるでしょう。
 あなたがトマトの種を蒔くと、それがやがて実をむすび、満足感をもたらしてくれます。トマトが日々成長すると、あなたの心は希望に満たされますよ。
 種が水を吸収すると……、平和と安らぎ、そして、花とトマトに成長する喜びをもたらします。その小さな種はジョー、ゆっくり膨らんで繊毛をつけ、やがて根を出します。繊毛の役割は、トマトの成長を助ける役割をします。
 トマトの木はとてもゆっくり成長するので、あなたはその成長を感じることは出来ません。しかし、それは確実に成長します。
 
★★人は自分の力で変化する!★★
 このように、患者ジョーの好きな“植物の話題”を、そのトマトにジョーの心情をなぞらえて、患者のイメージを“快”に導くように誘導してゆくのです。
 このような調子で、エリクソン博士は延々と語り続け、ジョーは想像の中で、「芽を伸ばし、根を広げ、成長してゆくトマト」のイメージを追っている内にトランス状態に入ってゆきました。
 彼の無意識は学ぶべきことは十分学び、息を引き取るまでの3ヶ月のあいだ、充実した安らぎと感謝を感じ続けることが出来たのでした。
 このことが可能になったのは、ジョーの無意識のなかに蓄えられていた「農夫の体験や花屋の経験」という材料(リソース)です。暗示メッセージは、その資源(リソース)が活性化するための触媒を果たしただけなのです。
 
 このように、適切な暗示メッセージを作るには、あくまでも被暗示者が関心を持っている事柄、受け手の過去の体験の中の種子を掘り起こすものを材料とすること!また、その暗示メッセージは、なるべく多く反復し、その中で発展させてゆくことです。
 高度な暗示のテクニックは、先回お話しした“サブリミナル・パーセプション”のようにテレビコマーシャルの中の瞬間の映像に一つの暗示が織り込まれ、それは我々の意識には上らないけれども、潜在意識は感知するのです。
 私は講義や講演、または日常のさりげない会話の中で、私が真に伝えたいことの暗示メッセージをそっと挿入してゆきます。すると、先ほどの「トマトの木」の例にみるように、相手の心は、その人が興味を抱くコンテンツに集中し、それが無意識にイメージを活性させ、やがてその内容と同化して、トランス(催眠)に入ってゆくのです。
 人間同士の対話でこのような「暗示テクニック」を用いる場合は、相手尊重の態度である「YOU能力」が必須条項です。それは「現に相手が抱いている考え方しか、話し合いや暗示またはトランスに導く接点がない」からです。「YOU能力」が有効なのは、「もともと相手の中にあった材料が反応してくる」からなのです。
 相手は、自分の心の中にある“声”を自分自身で聞くだけなので、強制された不快感や反発は起きようがありません。
 人間の性質が変わるのは、外部から無理矢理新しい考え方を「注入」したり、治療を“施し”たりするからではありません。
 人は、自分の力で変わるのです。そして、その材料は、誰もが自己の中に持っているのです。
 また、相手の内面で、いま何が起こっているかは、相手の体の微妙な変化となってあらわれます。それは、
 ●呼吸の深浅やそのリズム
 ●顔の表情の微妙な変化……特に、瞼、唇、頬の緊張・弛み
 ●皮膚の色の変化
 ●話す声のトーン、リズム、テンポ
 これら相手の無意識の変化を敏感にキャッチし、それにチューニングしてゆきます。その時、ひたすら相手の内面で起きているリアリティ(相手の真実)のみを尊重してゆくのです。そして、チューニングに成功したと見極めたら、ふと話し方や内容のリズムを変えて様子を見ます。そのペースに相手が追随してくるようなら、今度はこちらのペースでリードしてゆくのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/