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今週の喝 第295号(2010.12.13〜2010.12.19) この世は全て催眠だ(37)〜ダブルバインドは、心の法則〜

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潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(37
〜ダブルバインドは、心の法則〜

 環境や制度(決まり事)、編成(人間関係)からのダブルバインド(二重拘束)によって、自分を見失うことがあり、それが統合失調症に発展することも儘(まま)あります。統合失調症は少し前まで、精神分裂病と言われましたが、精神に支障をきたしていない状態でも症状が出ることがあるので、近年、名が改められました。もちろん、ダブルバインドがだけが発病原因というわけではなく、脳内伝達物質(ドーパミン)仮説、グルタミン酸仮説、遺伝的欠陥、発達障害仮説、心因説など諸説が多くあります。
 心因説の中に「二重拘束(ダブルバインド)説」があり、親から二つの互いに矛盾するメッセージを受けとった子供が、それを上手く処理することができず、それに応えようとして発病するという仮説です。これは、否定的なメッセージを送りやすい家庭で育つことで発症数が増すことも報告されています。(今では、このことは原因ではなく、症状悪化要因だという見解が主流になっています)
 この統合失調症は、思考や行動、感情を一つの目的にそってまとめて行く能力……すなわち統合する能力が低下したり、その経過で幻覚や妄想などによって、ひどくまとまりのない行動をとります。鬱病や引きこもり、適応障害などとは区別しにくいことがありよく間違えられます。そして、この病気は決して珍しいものではなく、現代は120人に1人の割合で罹患しているといいますから、決して珍しい病気ではありません。
 こんな症例治療に、今度は治療型ダブルバインドを施したのがミルトン・エリクソンです。
 このように、人はダブルバインド状態におかれると、病気を発症したり、それが治癒すると言うことは、それが人間の“心の法則”の一つである証しです。

=ダブルバインドの解消は感情コントロールから=
 ダブルバインドは日常生活のどこにでも存在し、それによって統合失調に陥るケースも多くあります。そんな時、ダブルバインドという心の法則を理解し、エリクソンの提唱する催眠治療を意識的に施せば、症例悪化を阻止するばかりではなく、治癒させることも可能なのです。
 ダブルバインドの事例を少し紹介しましょう。
人間誰しも憂鬱な状態になることは儘あります。そして、この憂鬱な状態が解決されないまま、自分の心の奥に「忍耐」と思ってしまい込んだ人は、その状態が反復される度に、心にその鬱憤が蓄積され、やがて癖化され、鬱病へとすすんでゆきます。
 そんな鬱病患者に、家族は「元気を出そう」と励まします。すると患者は「ふさぎ込んでいてはいけないんだ」と思い込み、本来人間の持つ正常な反応である“悲哀感”と格闘するようになります。そして、ますます状態を悪化させてゆくのです。2〜3の例を挙げると、

(1)元気を出そう(家族)→頑張ろう(患者)→出来ない→俺はダメだ→悲しい→俺はダメだ→悲しい→俺はダメだ→出来ない

(2)酒を飲む(夫)→イライラする(妻)→「飲み過ぎると、身体に悪いわよ」(妻)→「うるさいなあ」(夫)→それを紛らわせるために酒を飲む→イライラする(妻)→その空気で酒を飲む(夫)→イライラ→酒……

(3)子供が勉強をしない→母を非難する(父)→子供を叱る(母)→反抗したり暴れたりする(子供)→母を非難する(父)→子供を叱る(母)→反抗したり暴れたりする(子供)→母を非難する(父)→子供を叱る(母)→結局、母が叱るから暴れたくなる(子供)→反復され、それが癖化して家庭内暴力に発展する。

この三つの例は、どこの家庭でも良くある話ですね。完璧な悪循環です。
 エリクソンは、こんな悪循環の状態に陥った家族や人間関係に、メスを入れることを教えています。この三つの事例など、傍目八目で他人事としてみている限り、解決法は至極簡単ですね。悪循環の中で反復される感情の増幅を解消する為に、このシステムを潰して相転移を起こさせればよいのです。
 (1)の場合は、患者が滅入っている時には、一緒に「しんどいね。苦しいね」と、人間誰でもそのような時期や感情を持っていることを伝え、その患者の中にある人間的な優位点を静かに話してゆき、何時か必ずその時が来て、楽しいことが起きるから、今は「頑張らなくて良いよ」と相手の心に同調すればいいのです。これを、チューニング(同調)と言います。
 (2は、「身体に悪い」という妻の夫に対する気遣い的発言が、実際は「酒を飲むな」という命令的側面になっています。そこで、裏腹な意味を含んだ言葉や皮肉を止め、正しく修正(整合化)するのです。例えば、妻が「世間は嫌なことが多いから、お酒がすすむのね。私も飲みたいなあ」などと、夫が酒を飲む心情を理解すれば、双方の人間関係は正常化しますね。
 そして(3)は、陰鬱な家庭環境にその原因があるわけですから、勉強という基準だけで子供を測るのではなく、「腕白でもいい、逞しく育って欲しい」というコピーにあるように、子供への価値判断基準を多く持つことで、その雰囲気は改善され、子供の心はつねに愛を感じ、鬱憤は散霧します。
 このように書いてしまえば至極簡単ですが、人間は当事者になると“感情”が心を支配しますので、そうは問屋が卸しません。だからこそ、感情コントロールでもある催眠法の修得が必要不可欠となるのです。

この続きは、また来週……('-^*)/