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今週の喝 第186号(2008.11.10〜2008.11.16) 〜偉人に学ぶ……楠木正成(8)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……楠木正成(8)

 建武の新政は、はじめから上手く行かない材料がたくさんありました。ちょっと複雑なので分かり易くまとめてみましょう。
 後醍醐天皇が鎌倉幕府に反旗をひるがえした時、はじめから後醍醐の味方として戦ったのは後醍醐の息子・護良(もりなが)親王と、大抜擢された河内の悪党・楠木正成の二人でした。
 ところが、幕府が弱体であると分かると、関東の御家人である新田義貞と足利高氏が寝返って、鎌倉と京都六波羅(鎌倉幕府が、京の警護と西の方に睨みを利かすため創った本営)を襲撃し、北条氏は滅びます。従って、後醍醐天皇方になりました。
 建武の新政の目的……それは後醍醐天皇を中心とした、公家による政治の実現です。しかし、幕府打倒に功績のあった者は武士達で、そのもの達に恩賞や官位を与えないと、また軍事クーデターが起きかねません。
 そんな状況下に、後醍醐天皇は隠岐から帰ってきましたが、その時も息子護良親王は、まだ、南河内辺りで北条の残党狩りをしていました。そして、情報が上手く伝わらなかった所為もあって、未だ足利高氏は敵だと思っており、臨戦態勢を崩しておりません。しかし現実には、この時点で、尊氏と言う名を与えられ、後醍醐に重用されていました。
 後醍醐は、この状況説明を直接護良にし、この乱が起こる前の「僧侶」に戻るように説得しました。後醍醐も我が息子の出した勝手な「令旨」に腹を立てていたのです。
 そして、尊氏も護良もこの事態が収拾した新政下では、征夷大将軍になれるという野望を抱いていました。
 ここに、
    (1)公家vs武士
    (2)関東武士vs関西悪党(一応武士)
    (3)後醍醐天皇vs護良親王
    (4)足利尊氏vs護良親王
という、4つの要因が入り組んだ怨念の確執状態になりました。

=恐ろしきは女の執念=
 さて、上記の4つの確執にもう一つ恐ろしい情念が絡んできます。
後醍醐天皇には阿野廉子(あのれんし)という寵姫(ちようき)がいました。彼女は後醍醐天皇が隠岐に配流になった際にも付き従い、甲斐甲斐しく天皇の世話をし、天皇の愛を一心に受けるようになりました。そして、後宮でどんどん出世し3男2女をもうけます。それと同時に、我が子可愛さから世情には全く目を向けず、宮中を混乱の渦に巻き込んで行きます。
 阿野廉子は後醍醐天皇が隠岐に流されている間、楠木正成とスクラムを組んで必死になって鎌倉幕府軍と戦った天皇の第三子・大塔宮護良親王(だいとうのみや・もりながしんのう)を次第に目の敵にするようになります。それも、自分の子供の出世を願ってのことで、終(つい)には、征夷大将軍の位を護良に取られた足利尊氏と結託して、「護良親王(もりながしんのう)謀反の疑い有り」と訴え、正成が紀伊の反乱鎮圧に行っている間の建武元年(1334)10月に護良は逮捕され、翌月鎌倉へ流されます。そして、本来天皇の実の子に死刑はないはずなのに、どさくさに紛れて、足利尊氏の弟・義直の命を受けた淵辺伊賀守(ふちべ・いがのかみ)によって惨殺されてしまします。

 その時の模様が「太平記」には詳しく書かれています。
護良親王はこの時、淵辺伊賀守に向かって
「お前は私を殺すための使者であろう、分かっておるぞ」
と、淵辺(ふちべ)の太刀を奪おうと走り掛かりますが、牢で半年ほど座ってばかりいたため思うように足が立たないところを、膝を強く淵辺(ふちべ)に打たれた為に、うつ伏せに倒れました。親王は起き上がろうとしますが、淵辺(ふちべ)は胸の辺りに乗りかかり、腰の刀を抜いて首を切ろうとします。
 その時、護良親王(もりながしんのう)は咄嗟に首を縮め、淵辺(ふちべ)の刀の先を口でくわえて受け止めます。これが本当なら、凄いアゴの力としか言いようがありません。慌てた淵辺(ふちべ)は刀を奪われまいとして引き上げたところ、刀の先が一寸ほど折れてしまいました。結局、淵辺は脇差しで親王を殺し、首を切り落とします。
 しかし、その首は死後も刀を口に挟み、目はあたかも生きているようであったので、恐ろしくなり藪に捨ててしまったとあります。
 このようにして、ただでさえ怨念が入り乱れた建武の新政に、後醍醐天皇が寵愛する阿野廉子(あのれんし)が甘言讒言(ざんげん)で天皇を籠絡(ろうらく)したため、あっという間に混乱を来し、各地で反乱が勃発します。

(教訓)
  「雌鳥(めんどり)、鬨(とき)の声を上げれば、国滅ぶ」
 とは、おなごはんには、申し訳おまへんが、
 あたっとりまんなあ。


この続きは、また来週……('-^*)/