M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第174号(2008.8.18〜2008.8.24) 〜偉人に学ぶ……白隠禅師(26)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……白隠禅師(26)

 白隠禅師は、先回お伝えしました「延命十句観音経」を世に広め、観音様を教養も何もない当時の民衆にとって、とても身近なものとしました。そして、己の心の中にすでに観自在菩薩がおられることを、たった十句で教えてくれました。
 白隠のもう一つの偉大な功績は、「坐禅」という近寄りがたいものを、民衆にも分かりやすい和讃(日本語のお経)という易しい形にして参禅しやすくしてくれたことにあります。
 坐禅というと、足が痛いだろうとか、警策(きようさく)でブッ叩かれる、無になどなれるわけがないなど、我々にとってマイナスイメージと恐ろしさが一杯の世界に思いがちですが、白隠は「何のために、なぜ」坐禅をするのかを、日本語最高のリズムである七五調の、しかも、たった44節という短い文で、分かり易く「坐禅和讃」として我々に残してくれました。

=白隠禅師・坐禅和讃=
 私達M&U SCHOOLは、京都宇治の心華寺(しんげじ)で毎月二日間、開校していますが、二日目の朝は必ず一時間坐禅をします。その最後に、全員がこの坐禅和讃を読謡します。分かり易く書かれているといっても、昔の文体ですので、現代人には少々難解であると感じますが、その調子の良さや一つ一つの語句の韻律がとても印象に残ります。私も初めのうちは気にもとめなかったのですが、唱え続けている内にしっかりとした意味を知りたくなり、一語一語をひもといてゆくとそれはそれは、とても素晴らしい世界が広がっているではありませんか。

 衆生(しゆじよう)本来仏なり
   水と氷の如くにて

 水を離れて氷なく
   衆生の外(ほか)に仏無し

 人はもとより「仏」なのです。それは、水と氷の関係と同様に、水のないところに氷がないように、人の心の中以外に仏さまはおりません。
 如何に立派なお坊さんの白隠禅師でも、いきなり「おまえが仏だ」と切り出されると「はい、そうですか」と素直に納得できませんが、こんな例え話で始まりますと、思わず話を聞いてみようと思いますね。
 その温度によって形を変える水を、我々人間の心の有様に例えるところなど、とても素晴らしい発想です。冒頭で、すでに自分と仏が一体であることを示唆しているのです。まさに我々人間は「同行二人」であることを教えてくれています。しかし、次の文節から、そんなに素晴らしい資質を持っている人間が、自分の内側に気付かないために「愚の骨頂」を犯していることに言及します。

 衆生近きを知らずして
   遠く求むるはかなさよ

 譬えば水の中に居て
   渇(かつ)を叫ぶが如くなり

 長者の家の子となりて
   貧里(ひんり)に迷うに異ならず

 凡人は、仏さまが自分の心の中に住んでいるにもかかわらず、いつもどこか遠くに仏さまがいると思っているのは、はかないことです。それは、例えば、水の中にいるにもかかわらず、「喉が渇いた」と叫ぶようなものです。また、金持ちの家の子に生まれたにもかかわらず、お金が無いと迷うのと同じです。
 このように、一般人はしなくてもよい苦労をしています。まさに「灯台もと暗し」の心に警鐘を鳴らしているのです。老子も人の心を目に例え「目は、百歩も離れたものを見ることは出来ても、自分のまつげは見られない」と言っています。これは、足を知る(知足)ことを忘れた愚か者の苦しみを例えにしているのです。そして、ここで白隠は、人の心の在り方を説き、同じ過ちを繰り返す愚かを戒めてきます。

 六趣輪廻(ろくしゆりんね)の因縁は
   己が愚痴の闇路なり

 闇路に闇路を踏み添えて
   いつか生死(しようじ)をはなるべき

 人の心は、地獄、修羅、餓鬼、畜生、人間、天界の六つの心境をさまよいますが、その始まりは自分自身の愚痴が始まりなのです。そんな、同じ過ちの繰り返しから、いつか離れなければなりません。
 まさに、自分自身の感じ方、考え方、求め方等によって、人間は心の満足度が違うのです。苦と思う事柄は、そのほとんどが自分の心がそのように感じているだけです。人間の運命は、まさに自分自身の心の赴く方向に進むことを知らなければなりません。幸も不幸も自分が作っている……一見矛盾し、外界から影響を受けているように思うことでも、やはり自分自身の動向が原因であることに早く気付きましょう。「あいつが悪い」と一本指させば、三本自分の方を向くように、愚痴は自分の心に無明(暗闇=馬鹿さ)をもたらすだけです。

  馬鹿は死ななきゃ治らない!
       馬鹿は死んでも治らない?


この続きはまた来週……('-^*)/