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今週の喝 第171号(2008.7.28〜2008.8.3) 〜偉人に学ぶ……白隠禅師(23)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……白隠禅師(23)

 人間は、病気にかかると本当にマイナスの想念で心も体も萎えてしまいます。このような時だからこそ、白隠禅師はやる気を出せと言っています。「誰でもやれば必ず出来る、本人のやる気次第だ」と言うのです。
 夜船閑話(やせんかんな)には、白幽仙人が病気も癒えた白隠と対話しているくだりがあります。
 「おまえよりわしの方が、十倍もたくさん病気をした。病気についてありとあらゆる事を学び、ありとあらゆる医者も訪ねたけれど、誰も何も救う術がない。そこで、天の助けを祈った結果、はからずも『軟酥の法』を伝授された。嬉しくてたまらず、ひたすらこれを実践したら、自分が何歳なのかも分からないくらい長生きが出来た。白隠よ、おまえはこれからこの妙術を、病で苦しんでいる人に伝授する使命にあると諭され、最後に、
 「一生、用いても尽きない秘訣をおまえに伝えたのだ」と言って、黙って目をつぶり、深い瞑想にかえって行きました。これは、軟酥の法が、まさに「禅の悟りに等しい」と言っているのです。
 我々衆生には、禅の悟りがどういうものであるかハッキリ理解することは出来ませんが、もしかしたら、生老病死に始まる四苦八苦を乗り越え、幸福に生きるための心の特効薬なのかも知れません。

=美しき師弟関係=
 夜船閑話の最後には、白隠禅師が、白幽仙人のもとを去る感動の場面が描かれています。
 「しずしずと白幽仙人のいる洞窟と別れを告げて下って行くと、日ははや山の梢に掛かり、ふと気がつくと岩を踏む下駄の音だけがカツカツと谷にこだましてきた。どうしたことかと驚いて振り返ってみると、遙か遠くの山の洞窟から白幽仙人が出てきて私を見送りにきてくれた。そして、人も通らぬこの山道だ、西も東も分かるまい、と声をかけ、麓までの道案内を大きな下駄を履き、細い杖をつきながら、険しい岩の道を飄々としてまるで平地を走るように、私と談笑しながら先導してくれた」
 この文章から、しっかりと修行を積み、秘訣を伝授した師匠と弟子の温かい情の交流が伝わってきますね。
 この後、白隠はたえず内観の法、軟酥の法を心に留め置き、修行して、わずか三年も経たないうちに、それまで患ったさまざまな病が、薬も鍼もお灸も用いずに自然治癒していきました。それだけではなく、それまで歯が立たなかったような難解な禅の公案でも、根本的な悟りを得て、大歓喜を感ずること六,七回、小さな悟りは数知れずであったと記しています。
 我々人間は、「白隠という特別の人間だから出来たのだ。白隠が三年も掛かったものを我々凡人が出来るわけがない」という自分を矮小化したいじけ心、この夜船閑話を読みがちです。私も同じように感じた一人ですが、自分自身フルート吹きであるという、ちょっとした自負心から軟酥の法に挑戦してみようと思ったのです。
 何故、フルート吹きであるという理由が挑戦心を喚起したかというと、フルートを演奏するときには、徹底して腹式呼吸でないと絶対に良い音は出ないので、初心者は胸式呼吸から腹式呼吸に自分自身の呼吸法をチェンジするところから練習を始めます。私も中学一年生の時に、約一週間かかって吹奏楽部の先輩から腹式呼吸を叩き込まれました。
 そして、腹式呼吸が無意識に出来るようになったときのことを、鮮明に覚えています。とてもゆったりとした心持ちの上に、非常に力強いエネルギーが下腹から湧いてきて、それが吐く息を通じてフルートの中に入って行くのです。すると、それまで、ヒョロヒョロとしか鳴らなかったフルートが、ビーンっと芯のある音に変わったのです。それ以来、「呼吸は私の得意分野」と思うようになりました。
 こんな、単純な理由から内観の法や軟酥の法に一度挑戦してみよう。そして、フルートを練習してきたように、ゆっくりと、時間をかけて、毎日きっちりと時間を決めてやってみようと思い、実践してみた結果、不思議不思議!!10分も経たないうちに、手足に痺れたような感覚が現れ、それを通り越すと、何か自分の身体が宙に浮いたような感覚になり、何の理由もないのに自信と勇気がお腹の底からモリモリと湧いてくるではあ〜りませんか。
 これが私の軟酥の法の初体験です。しかし、「これは上手く行くぞ。私は天才なのかも知れない」などと自惚れた途端、急に我に返り、それから中々このような気持ちの良い状態になることは出来ませんでした。
 これこそ、私が「雑念」と言うものを体感した第一日目でありました。

 実践、実践また実践
  修練、修練また修練
   やってやれないことはない
    やらずに出来るわけがない


この続きはまた来週……('-^*)/