M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第761号(2019.11.18~11.24)この世は全て催眠だ(502)〜生まれて初めて、人の痛みを感じた時……!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(502

生まれて初めて、人の痛みを感じた時……!

 私が行進曲「以徳報徳」を作曲した年、報徳学園高校野球部は素晴らしいメンバーと監督に恵まれ、地区予選を快進撃しておりました。得津武史先生からは、
 「梅忠とポンタのコンビで、マーチを作った成果が実ったな!」
と、お褒めの言葉を頂戴したのが、今では懐かしい思い出です。
 それから2年後の昭和46年の春のこと。その年も報徳ナインは快進撃で春の選抜高校野球に出場することとなりました。そして、その第二戦に応援団と一緒に野球観戦の招待を受けました。ラッキーセブンには、私の作曲した行進曲「以徳報徳」が高らかに演奏されると聞いて、得意満面、うららかな春の甲子園に赴きました。
 相手は名古屋の名門・東邦高校野球部。プレーボールの前の応援合戦で、高らかに吹奏楽部が行進曲「以徳報徳」を奏でた後、プレーボール!
 初回に報徳は幸先良く1点を挙げたその裏、エースのK君は先頭打者のT君に予想外のデッドボール、続くO君には頭にぶつける連続デッドボールで完全に我を失い、ストライクが全く入らない状態になりました。その回は、打者13人に対して11フォアボール。リリーフしたピッチャーのK君もその雰囲気に呑まれて、連続の3フォアボール。この回を無安打で東邦に11点を与えるという甲子園史上最大の大敗を喫しました。そのショックから、エースのK君は失踪。行方不明となり、学校中で捜索するという事件にまで発展しました。
 この出来事は、私に深い反省をもたらしました。応援のための音楽で有頂天になり、名誉心をくすぐられて大きな顔で応援スタンドにいるとき、その同じスタジアム(球場)で緊張のあまりコントロールを失い、有望視されていたエースが窮地に陥り、自分の責任で学校の名誉、応援団の熱意、父兄達の期待を不意にしてしまったことを悔いて、死まで考えた同世代がいたのです。
 この時、年が二つほどしか変わらない高校生が、自分の心や身体ではどうすることも出来ない緊張に打ち拉(ひし)がれているその現実が、私に得も言われぬ衝撃を残しました。

 

★★心と身体がバラバラになってしまう……!★★

 2~3日後、報徳学園のエースK君は見つかったと新聞で知りましたが、成人を前にした私に彼の心の葛藤は痛いほど伝わってきました。きっとK君は、野球に関しては人一倍の練習もし、チームのリーダー格として野球部員の憧憬を集めていたことでしょう。その重責、その気負いから、デッドボールを連続で出してしまったことで気が動転し、自己コントロール不能の状態に陥った。これは、楽器を演奏する私にも同様のことが起こる可能性があることを暗示する出来事でした。
 このコラムで、私はさも中学・高校と何事に於いても快進撃をしているように書いてきましたが、その裏には、高校入学当時500人中30番だった成績はじり貧で下がり、その反動から音楽に傾注するに連れ、そのカーブは急降下に転じました。周囲の友だちは、それを案じて
 「一緒に勉強しょう。そして、音楽は大学に入ってから思う存分やれ!」
と示唆してくれました。本当に嬉しいことです。しかし、一方で成績の下落に拍車を掛けるように、
 「畳家の息子は、成績なんかどうでもエエ!それより大事なんは家業を真剣に考えることや」
と、なげやりに言う父・郁郎の言葉が私のナーバスな心を刺激するため、まだまだ心を定められる年齢ではない私は、それにいつも反発・反応し、その反動形成からか、より一層音楽の勉強やフルートの練習にのめり込んでいきました。論理では友人達の言うことを分かっていても、実際の行動はその真逆を取ってしまうのです。まるで麻薬患者のような蟻地獄に入ってゆきました。それは、思考と行動がバラバラになり、自分が予期せぬ方向に行動が出てしまうのです。
 後にそれが潜在意識の作用(仕業)であることを知り、その研究に没頭してM&U SCHOOLの創設に繋がるのですが、その当時は、自分自身のコントロールが完全不能の状態に陥りました。
 そして、何をしても満足感に至ることはなく、全てが敵対的に映り、欲求不満で自分ひとりが悲劇の主人公であるかのような被害妄想になってしまいました。それを払拭するために、ますますフルートの練習、作曲法(和声学、対位法)の勉強に打ち込み、自分自身を満足させようと半狂乱の状態です。
 今、その当時を振り返ると、得津武史先生が言った「努力は報われる」の言葉通り、高校生であるにも関わらず音楽的オファーは多くありました。
 こんな体験をした後の野球観戦は、私の高校生活とオーバーラップし、それからの私の人生に大いなる警鐘となったのです。それは、「自分は何をしようとしているのか?」という目的意識を確実に持っていないと、あの成績下落に喘(あえ)いだ高校2~3年の悪夢が反復されることでした。

 

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/