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今週の喝 第749号(2019.8.26~9.1)この世は全て催眠だ(490)〜「才能」は「出逢い」によって開花される!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(490
「才能」は「出逢い」によって開花される!

 才能を与えられてこの世に生まれてきた者は、その才能を天賦(天より与えられた)のものとして、それに溺れず、より一層の努力に励む事で、世間の憧憬(しょうけい)の念を集める役割を担っている!……これが、私の結論です。
 この才能の中には、運も縁も前世因縁も含まれると思います。私の郷土・今津に得津武史先生が赴任してこなかったら、それこそただ単に「掃きだめの街」「文化果つる地」(当時の話です)で終わったことでしょう。ですから、得津先生が今津中学という地に“もし!”赴任してこなかったら、吹奏楽のメッカとまで言われた今中伝説は生まれなかったことでしょう。
 得津先生は、私の生まれた年、昭和27年に西宮では最も文化の香り高い夙川(しゅくかわ)小学校に専任音楽教師として赴任していました。そこでは上品にママさんコーラスの指導などをしていたらしいのですが、全く肌が合いません。土地柄や人間関係にはそれこそ合縁奇縁の法則が働くのでしょう。音楽教師という仕事に、全く身が入りません。そして、おきまりのコース!酒に手を出し、夜な夜な当てもなく西宮の繁華街をうろついていました。特に我が町今津は、当時、映画館6館(2館は後にポルノ専門に)、パチンコ屋4件、飲み屋は数知れずあり、現在の大阪新世界界隈のような様相です。その街を夜な夜な一人の音楽教師が酔眼朦朧(すいがんもうろう)と街をさまよい歩くのです。そんな時のことを、先生は、
 「ワシは何のために生きているんや。音楽は生活するためだけのもんか。ワシっていったい何や、何が夢で、何が希望なんや。ワシは何のために生まれてきたんや
と自問自答しながら、また酒をあおったと、生前、当時の悶々とした心境を語っていました。
 そんなある日、降りしきる雨の中でとうとう操縦不能となった先生は、ついに学校らしき建物の軒先にうずくまって寝てしまったのです。

 

★★人の苦悩までもが、才能育成の肥やし★★ 

 夜明けになって、その校門あたりがにわかに騒がしくなったので、薄目を開けてみると、楽器を抱えて校門を乗り越え、校内のグランドに駆け込んで行く少年達の姿が目に飛び込んできました。やがて、彼らが練習するラッパのロング・トーンの音が聞こえ始めました。
 その練習音は、むかし満州で促成軍楽隊を組織していた頃の事を思い出させ、イガクリ頭の少年達が一所懸命吹くラッパの音を聞き入り妙な感動を覚えたといいます。
 そんなことがあったある日、偶然にもその今津中学校吹奏楽部を創部し、その昔、得津先生と一緒に吹奏楽を志したことのある鈴木竹男先生から電話が掛かってきました。それは偶然にも、あの夜明けのラッパを聞いた中学校、今津中学校の音楽教師に推薦したいという内容の電話でした。鈴木先生は、これもまたまた偶然ですが、今84歳になる我が母・洋子の中学校時代の担任でもありました。そこで私も、後年「教え孫・梅忠」と呼ばれてとても可愛がって貰いました。この鈴木先生が、今度新設される阪急少年音楽隊隊長(阪急の社員養成機関)として赴任されるため、得津先生の荒くれ性(ガラの悪さ)が、鈴木先生の脳裏に閃いたのでしょう。
 「得津さん、今津中学校はね、生徒の大半が通学する道の両側に、映画館、パチンコ屋、飲食店が軒を連ね、ご存じの通り夜は酔っぱらいの街にあるんです
この説明を受けているとき、得津先生は頭をかいて聞いていました。
 「この街は教育的環境にはほど遠い。こんな状態のもとで、音楽の授業に高尚なクラシック音楽を聴かせて理解させるのは無理というものです。だからこそ、彼らを楽器に触れさせて音楽を演奏する喜びを与えてやりたいんです。私が手がけてきたこの吹奏楽部をあなたが変わって鍛えてくれませんか。あなたなら絶対に出来る……!
あまりにも唐突な鈴木先生からの誘いに、イガグリ坊主の吹奏楽の音色が重なり、得津先生はなぜか身震いするような運命的なものを感じたと述懐しています。
 
 才能はこのように、性質だけではなく、そこに土地柄、人間関係、タイミング、その上、その人間の苦悩までもが折り重なるように合致して育まれて行くのです。“もし!”得津先生が「自分とは何か?」という悩みを抱えてガラの悪い街・今津を徘徊していなければ、今の私(梅谷忠洋)は生まれていないでしょう。この“縁”のメカニズムは、「絶妙」としか言いようがありません。歴史に「if」はないといいますが、まさに奇跡の重なりで人生模様は描かれています。“もし”あの時……!“もし”あの出逢いが……!などと考えることは無意味なことなのかも知れませんが、私は後年、自分の半生を振り返りながら、この縁(出逢い)のシステムを研究しようと決心するのです。
 このように今津中学校吹奏楽部の創生期を見ても、一つ確かなことは、あらゆる事象を「感激・感動」をもって受け入れる心を育むことが、才能を成果に結びつける原初的エネルギーである事だけは明言できます。

 

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/