M&Uスクール

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今週の喝 第742号(2019.7.8~7.14)この世は全て催眠だ(483)〜「聞きたい!」「奏でたい!」「作りたい!」〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(483
「聞きたい!」「奏でたい!」「作りたい!」

 思春期独特の感受性……どんなものにも感動と興味をおぼえ、そのことに心酔してゆく純粋さが、人間の方向性を決めます。私の場合、音楽にとても深い感動をおぼえましたが、この深さにも色々あることを後に知りました。
 例えば、感動するドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を聞いた人は、70%がもう一度聞きたいと思い、25%が自分も同じように演奏したいと感じます。そして残りの5%の中には、自分もこのように感動を呼ぶ音楽を作ってみたいと思います。私はこの最後の希有な存在でした。
 しかし、いざ作曲しようとメロディーを考えるのですが、どこかで聞いたことのあるものが心の隅っこにこびり付き、それがフッと頭をかすめて出てくる程度のものでした。
 先回も書きましたが、私の卒業した今津中学校吹奏楽部は、(当時)大阪市音楽団コンサートマスターの木村吉宏先生の緻密で洗練された最高の編曲によって、音符の一つ一つを丁寧に演奏してゆき、見事なサウンドを奏でていました。しかし、そこに何かが足りない所為で、2年間、全日本吹奏楽コンクールで優勝を逃していました。その“何か”を知りたいためにも、音楽そのものがどういう成り立ちで出来ているのかを知りたいという一念から、木村先生の書いた編曲譜を具(つぶさ)に分析研究したのです。
 その楽譜の素晴らしさは私のような学生にもハッキリ分かります。その頃の私の理解は、とにかく40名の吹奏楽アンサンブルを奏でるのに、30段の五線譜の上から下までびっしりと音符を埋め尽くさなければ、美しいサウンドは生まれないという単純な認識です。例えば、ベートーヴェンの交響曲第三番「英雄」の冒頭のジャン!という響きを吹奏楽で出すには、この30段の楽譜全てが埋まって、一斉にアインザッツ(縦の線)を合わせなければならないのです。この程度の認識では、「作りたい」と思ってもどうにも歯が立ちません。

 

★★作曲の世界に向かって、勇気ある船出!★★

 「何がそこにはあるんだろう?」とモヤモヤしていたとき、西宮吹奏楽団でクラリネットを吹いていた私より2年年上の岡本悦夫先輩に尋ねてみました。彼は翌年、大阪音楽大学を受験することになっており、よくいろんな話を聞かせてくれていました。
 岡本先輩曰く、
 「本物の作曲は、メロディーを作っただけでは音楽にならない!
と切り出しました。現在のポップスや歌謡曲の世界では、歌手が歌うメロディーを作るだけで「作曲家」と呼ばれていますが、そこにバックのオーケストラが素晴らしい伴奏を奏でることで、あの華麗な世界が演出されているのです。岡本先輩は、
 「この全てが出来ないと本物ではない!そのメロディーには、ふさわしい和音(コード)が付き、歌の場合は歌い出しがし易いように“おかず・合いの手(リーディング)”を作る必要がある。その為の勉強も必要だ
と教えてくれました。そして、音楽の規則である「楽典」を学び、それらメロディーに付ける和音にも複雑な決まりがあるのです。そして、もっと高度な音楽を作ろうと思えば、バッハが作曲するようなフーガやカノンなど“対位法”という複雑な技法を学ぶ必要があるというのです。そして、それらを学ぶための教則本も紹介してくれました。
 「先ずは、和音の勉強からするのが順当!だから、“やまとせいがく教程”という本をヤマハに行って買ってきて勉強せい!頑張れよ
と懇切丁寧に教えてくれました。私は、岡本先輩の情報に待ちきれず、大阪心斎橋のヤマハに赴き、楽譜係の女店員に、
 「やまとせいがく教程という和音の本下さい
と、書名を告げ探して貰いましたが、
 「そのような名前の本は出版されておりません
とけんもほろろに言われました。岡本先輩は和音のことを書いた本ではこれが一番有名で著者は長谷川良夫先生と告げますと、その女店員はクスクス笑いながら、一冊の立派な本を持ってきて
 「はい!この御本ですね。これは“やまとせいがく教程”ではなくて、“大和声楽教程(だいわせいがくきょうてい)”と読みます
と、にこやかに手渡してくれました。私は岡本先輩にからかわれたのです。このようにして、私の作曲家への勉強の第1ページが大恥をかきながらスタートしたのですが、そんなに腹立たしい思いもせずに、こんな無知蒙昧な私が作曲という大海原へ船出してゆくにはふさわしい門出の感がして、今も私の書棚の真ん中にこの“大和声楽教程(やまとせいがくきょうてい)”は鎮座しているのであります。

 

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/