M&Uスクール

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今週の喝 第740号(2019.6.24~6.30)この世は全て催眠だ(481)〜嬉しくない優勝!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(481
嬉しくない優勝!

 高校生時代……この頃を振り返ると、顔から火の出るような恥ずかしいことを何の衒(てら)いもなく行っておりました。
 1年4組の学級歌を作曲し、コーラス部の指揮者になり、西宮市吹奏楽団の首席フルート奏者として頑張っていた頃に、我が市立西宮高校では全校でクラス対抗の合唱コンクールが行われることになりました。
 もちろん、学級委員長でもあった私はクラスの全員が指揮者に指名し、選曲も一任という待遇で、その準備に入りました。私は、中学時代のコンクールに臨む意気込みで、周到の準備を始めました。先ず、曲目はベートーヴェン第九交響曲第四楽章より「よろこびの歌」を選び、クラスのみんなが歌いやすいように混声四部合唱に書き換え、オーケストラのパートは同じクラスで私をコーラス部に誘った杉野純子さんにお願いし、練習に入りました。
 その時、何度やってもハーモニーが合わない箇所があったので、テノールとアルトのパートを一人ずつ歌わせてみたところ、男声二人、女声一人が“音痴”なのです。クラス対抗の合唱コンクールです。本来なら、「邪魔をしないように…」とか何とか上手いことを言ってその場を凌ぐのでしょうが、事コンクールとなると、今津中学時代の悪夢が甦り、猪突猛進してしまうのでした。私は忘れていたのですが、のちに我が学年同窓会に出席した時、元コーラス部の仲間が、
 「梅忠はあの時、キッパリと“口(くち)パクで声を出さないように!”と言ったわよ。あの頃は、何と冷酷な人かと思ったけど、今考えると、アレが世間の厳しさを乗り越えてゆく手段だったのね
と、お褒めの言葉か皮肉か分からない話を聞かされました。まさに当時の私は“目的のためには手段を選ばず”を平然とやっていたのです。
 その結果は、全校で優勝に輝きました。しかし、私の態度に釈然としない何かが残ったのは事実で、クラス全員が歓びに沸き返ることはありませんでした。

 

★★後輩達にまさかの結果…!★★

 今思い返すと、私に「声を出さないように!」と言われた3人は、その通りに従い、不平も不満も漏らさず私の指示に従い、そして優勝の栄冠を手にした時も何の抵抗も見せず、みんなと共に喜んでくれていました。その姿を思い出す度に、「あの時、最善はどうすれば良かったのか」と考えてしまいます。

 何か、何処か歪んだ思春期ですが、良いことを探してゆけば、何事にも妥協を許さない根性だけは堅持していました。努力や忍耐といった感性・感覚も負けじ魂と共に養い、何をやっても結果を出すまでやり切るのです。
 そんな折り、我が母校今津中学校吹奏楽部は、宮城県民会館での全国大会の屈辱を雪(すす)ぐため、猛練習に励んでおりました。
 後で聞いた話ですが、得津武史先生は私たちが豊島十中に負けた時、引退を考えていたそうで、園田校長先生にその事を告げると、
 「アホ!お前のその頭とそのヒゲ面は、他に使い道がないやろ。吹奏楽はお前の天職や、死ぬまでやれ!
と、言われたのです。
 そして、あらためて練習に入ると、いつのまにか
 「今年は絶対に勝つ。今津中学をもう一回りも二回りも大きく成長させるぞ!
という反発精神が湧いてきて、万難を排して自由曲にフランスのギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の第四代楽長ガブリエル・パレが1894年に作曲した「リシルド」を携え、もうこれ以上ないところまで練習に打ち込んだのです。ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団は世界一のアンサンブルを誇る名門で、フランス国家憲兵隊の「共和国親衛隊(Garde républicaine)」に所属している軍楽隊です。この曲名の「リシルド」とは、フランス北部バランシェンヌ地方を治めていた女性領主リシルドの波乱に満ちた生涯をイメージして作曲されたものです。
 私も自分達の学年が成し得なかった優勝を奪還するため、フルートの後輩の指導や得津先生のサポートのため、夏休みなど毎日のように中学校を訪れておりました。
 そして十一月、東京厚生年金会館で行われた後輩達の力一杯の演奏を聞き、いよいよ発表の時、「今年は今中か、豊島十中か」と会場内に緊張が走りました。そしてアナウンサーが高らかに読み上げたのは、
 「第一位……島根県出雲市立第一中学校!
 「まさか……
会場内にどよめきが走りました。その静寂が破られたのは、ほんの数秒後!やがて堰を切ったように割れんばかりの拍手が起こり、彗星の如く現れた新しいヒーロー達を会場の観客が祝福していました。
 結局、その年、今中は二位、宿敵豊島十中は三位となりました。このことが、私の性格にさらに大きな意気込みを湧かせることになるのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/