M&Uスクール

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今週の喝 第727号(2019.3.25~3.31)この世は全て催眠だ(468)〜いよいよその日がやって来た!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(468
いよいよその日がやって来た!

 1966(昭和41)年11月20日、第14回全日本吹奏楽コンクール仙台大会。宮城県民会館から少し離れた高台にある公園(名前は分かりません)で、我が今津中学校吹奏楽部のメンバー全員は、ジェットの二郎号から下車し、ウォーミングアップを兼ねて最後の合奏練習に入りました。それぞれの頭には、帝国陸海軍特攻隊員が出撃の時に付けていた日の丸に墨書で「必勝」と書いた鉢巻きを締め、一糸乱れぬアンサンブルにいよいよ自信を深めました。
 吹奏楽部員だけではなく、得津先生はもちろん、我々を徹底的に演奏技術の指導をして下さった、大阪市音楽団の(当時)コンサートマスターでClarinetの名手、木村吉宏先生や大阪フィルハーモニーのTrumpetの天才と謳われた高坂滋先生(あだ名はテンペイ)の見守る中、公園内で朝のランニングをしている人や老齢の散歩を楽しんでいる方々から感動の拍手を貰いながら、意気揚々とコンクール会場に向かいました。
 私の67年間の人生で、あれほど緊張しながらも、心の動じなかった一日はありませんでした。先生の鉄拳制裁に悔しかった日もありましたが、それをグッと耐え抜いたその日があったからこそ、肚の底にドッシリと座った“自信”が私に不動智を与えてくれました。全く不安というものを感じません。「やりきる」とはこういう境地をいうのだと、すこぶる冷静な心境を確認したのが昨日のことのように思い出されます。
 しかし、我が総帥・得津武史先生はその時の心境を素直に語っていました。「ワシは豊島十中(東京都豊島区立第十中学)吹奏楽部の指揮者、酒井正幸先生の実力を怖れていた。“あそこにはいつ負けるか分からん”という不安がいつもあった」と……。

 

★★吹奏楽の巨人vs阪神戦……!★★

 この仙台で第14回吹奏楽コンクールは、まるで野球の巨人-阪神戦のような感がありました。豊島十中の自由曲は、リヒャルト・ワーグナー作曲「楽劇“ローエングリン”より~エルザの大聖堂への行列」。そして、我が今中は、フランツ・リスト作曲「ハンガリー狂詩曲第三番」。この二曲は今まで吹奏楽のどの団体も演奏したことのないオーケストラの名曲です。
 この2校の対決を聞き逃すまいと、宮城県民会館は溢れんばかりの聴衆で超満員です。私はこの半年間、練習に次ぐ練習で身体に染みついたハンガリー狂詩曲第三番のSoloの部分を反芻しながら、ステージの袖で自分達の出番を胸を躍らせながら待っていました。不安の“ふ”の字もありません。先生の言う通りにやって来た“自信”とそれに伴う“勇気”が、お腹の底から湧いてきて、はやく演奏したくて仕方の無い心情です。そして、前の学校の自由曲が終わろうとする頃、生まれて初めて「武者ぶるい」なるものを体験しました。それこそ、我が生涯を掛けた戦いに赴く武者達の心境……退くことなど全く脳裏に浮かばない、前進あるのみの心情です。
 そして、いよいよステージに陣取り、先生のタクトが振り下ろされました。課題曲は佐藤長助作曲「学園序曲」……軍楽隊出身の作曲家が、学園生活での思い出を音楽にしたマーチ風の小品です。吹奏楽と言えばマーチ!と言われるように、私は一年生の時に50曲以上のマーチを練習してきて、全く違和感のない演奏で、メンバーも全くミスのない軽やかな演奏でした。そして、2曲目は、私の生涯を決めたといっても過言ではない「ハンガリー狂詩曲第三番」です。
 オープニングの最後に軽やかなフルートのアルペジオ(分散和音)のソロがあり、その後、この曲の聴かせどころであるハンガリー音楽独特の緩やかなジプシー音楽の影響が強いラッサンに入ります。この部分は、私のフルートと清盛(平君)のクラリネットによるカデンツァがあり、この曲最大の聴かせどころです。そして、軽快なフリスカへと移行し、華々しくフォルテッシモで曲は終わります。
 何一つ不安のない演奏でした。残念ながら、出番が近接していたので、良きライバルである豊島十中の演奏をこの耳できくことはできませんでしたが、父兄の方々や指導の先生たちは、「このコンクールは貰(も)ろた!」と耳打ちしてくれました。
 そして、意外にも全く今まで名前も聞かなかった四国徳島の「富田中学校吹奏楽部」が良い演奏だったということでした。そして、出場校全ての演奏が終わり、約30分の休憩の後審査発表です。しかし、この日は、30分経っても一向に審査発表が始まる気配がありません。我々今津中学校吹奏楽部一同は舞台下手側の扉付近に出場メンバー40人が陣取り、その結果を固唾をのんでその時を待っていました。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/