M&Uスクール

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今週の喝 第725号(2019.3.11~3.17)この世は全て催眠だ(466)〜その年のコンクールは大遠征!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(466
その年のコンクールは大遠征!

 さて、全日本吹奏楽コンクールが行われる仙台に向けて、出発の日がやって来ました。昨年の長崎大会の時とは違い、先生も生徒も、自信に溢れた顔をしているのと同時に、どこかほんわかムードです。そのような雰囲気を察知してか、見送りに来ている父兄もクラスメートも満面の笑みで、悲壮感はありません。
 そして、我が今中吹奏楽部御用達の上田二郎さん運転の帝産バスに積み込みが終わると、
 「君たちは一所懸命練習してきたその成果を、唯々精一杯仙台の地で高らかに響かせてくればいいのです。上がりは禁物!落ち着いて挑戦してきて下さい。私も当日、応援に参ります
という園田秀雄校長の訓示の後、みんなに見守られながら、校門を後にしました。上田二郎さん運転のバスは出来て間もない名神高速道路を名古屋まで快走し、まだ東名高速は出来ていなかったので国道1号線をトロトロと東京へ……そして、国道4号を北へ900㎞に及ぶロングツアーです。
 そしてこの年は、日本全国の吹奏楽関係者が我々今津中学の必勝を信じていましたので、2学期のまっただ中(11月)であるにも関わらず、コンクール終了後、仙台から奥羽山脈を横断して、秋田でのコンサートオファーが来ており、それも快諾し、帰りは庄内新潟福井経由で大津に戻ってくるという、前年の長崎大会を遙かにしのぐ、合計2000㎞に及ぶ大遠征が企画されてのツアーでした。
 さすがに、学校を出発して最初の2時間ほどは、先生も生徒も一抹の不安を払拭する為、補助席までいっぱいのすし詰めのバスにもかかわらず、真面目に楽譜をチェックする等、静かな車内でした。その後は、緊張解除から安らかな睡眠時間となり、静かな往路で会ったのが印象的です。その間も、ジェットの二郎操縦の帝産バス上田号は着実に仙台に向かっておりました。 
 

★★余裕綽々の中で食べたビフテキの味★★

 今思えば、若さとは素晴らしい!コンクールを2日後にひかえた夕方に我々の宿泊地である仙台郊外の秋保(あきう)温泉の宿に到着しました。そして、夕食後、旅館の大広間で一時間ほどウォーミングアップを兼ねた合奏練習をし、迫り来るコンクールの緊張をほぐすかのように、温泉に浸かり、旅の疲れを洗い流して大人しくみんな床につきました。
 そして、次の朝は9時から合奏、昼食を挟んで、もう何もやることが無いにも関わらず午後五時まで練習し、そして、夕食です。先ほども練習場として使っていた大広間が、食堂に大変身し、我々貧乏人の多い今津の人間には初めての体験である据え膳が並べられていました。そして、その上には、な、な、なんと150㌘ほどのビフテキが各一つずつ鎮座しているではあ~りませんか。
 その頃は、肉など一ヶ月に一度か二度、しかもすき焼きのような薄っぺらいものしか口に入らなかった時代です。それが厚さ1㌢くらいある肉の塊が明日のコンクールに向けてのエネルギー源として我々に配膳されたのです。その時の得津先生は、旅館の女将に今まで見せたことのない真摯な表情でお礼を言っていたのが印象的でした。実は、このビフテキは旅館のご好意で出されたもので、先生も知らなかったのです。(にもかかわらず、私はその旅館の名前を忘れてしまいました。玄関前で写した集合写真は有るのですが、残念ながら大勢の生徒の影で旅館の看板が隠れています)
 これは余談ですが、昔はビーフステーキと言わず“ビフテキ”と呼んでいたのは、後で知ったのですが、ビーフステーキ(英語)を縮めた表現ではなく、“ビーフテュック(仏語)”から来たものだそうです。
 そして、得津先生はビフテキを目の前にした生徒達に、
 (トクツ先生)「お前ら、こんな旨いもん今まで喰うた事ないと思う。しっかりと喰うて、明日のええ(素晴らしい)演奏のエネルギーにせぇ!絶対に人糞製造機になるな。分かったか……
 (生徒一同)「ハイ!
 (先生)  「喰らえ!
 (生徒一同)「頂きます!
 「人糞製造機」とは、食べたものを唯々“うんち”にするだけの人間という意味で、先生自身の心情の賜物でありました。
 「牛は草を食べて肉を作る、その肉を食べた人間は、それを技量や知恵に変えなければ、畜生以下!
という意味で、人間の正しい在り方をこの喩えで教えてくれたのです。
 このように、得津先生の生徒への諭(さと)しは、下品で下ネタ的な引用が多いように思っていたのですが、社会に出てから色々と学ぶにつれ、実はもの凄く奥深い意味の言葉であることを知りました。
 “人糞製造機”という言葉は一休宗純禅師の「人生は喰うて糞して寝て起きて」という毒舌的風刺の効いた川柳的表現から来ているのです。つまり、先生は「無駄な人生を送るな……!」と言いたかったのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/