M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第710号(2018.11.26~12.2)この世は全て催眠だ(451)〜揃うことの快感を知ることこそ、強さの秘密!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(451
揃うことの快感を知ることこそ、強さの秘密!

 私たち吹奏楽部員の一年は、辻井先生編曲の選抜高校野球大会の入場行進曲の練習から始まり、新入生の部員勧誘、そして、ゴールデンウイーク明けの今年のメンバーのレベルを父兄や後援会に見て(聞いて)もらうための定期演奏会……ここで、新一年生だけの初ステージが披露されます。そして、(今は取り壊されてありませんが)西宮球場で行われる「2000人の吹奏楽」(現在は「3000人の吹奏楽」)。この大ページェントでは、我が今津中学校吹奏楽部は単独出演を許された名門校らしく、どこの学校よりも華やかで格好良く、また一段とボリュームのある演奏を披露しなくてはなりませんので、美しい音と言うよりフォルテッシモで吹く練習に終始し、フニャフニャした音で演奏すると、頭に天ぷら棒の嵐が吹き荒れます。
 私が2年生の時は、「海兵隊」「ブースター」「聖者が町にやってくる」の3曲のマーチで当時では珍しいドリル演奏を披露しました。一年生は見学です。
 今ではマーチングのコンテストが盛んになり、それに優勝する為だけを目標に頑張っている学校も多くありますが、私が中学生の時は、私たちと今津中の吹奏楽部の創始者である鈴木竹男先生が責任者となって、阪急百貨店の店員育成の為に作られた「阪急少年音楽隊」、そして、陸上自衛隊中部方面音楽隊の三団体だけがドリル(マーチング)演奏を披露出来たのです。
 今思い出しても、西宮球場の場内アナウンスが我々今中の名を読み上げると、球場を埋め尽くした観客が期待と興奮でシーンと静まりかえり、私たち45名に視線が集中します。そして、ドラムメジャーのホイッスルを合図に、ドラムマーチで内野のピッチャーマウンド辺りを中心に隊伍整然と配置につき、次のホイッスルで中学生とは思えない華麗なステージを広げて行きます。そして、圧巻は45名で作る“大車輪”。当時、これを披露すると観客席からはどよめきが起こるくらい見事に揃っておりました。この練習が猛烈に厳しかったことが、私たち中学校の「揃う」ことへの執着心育成にもなっていたのです。

 

★★先ずはフォルテッシモから……!★★

 こうして、野外で行われる「2000人の吹奏楽」で、思いっきり大きな音を吹く訓練が為され、それと同時に徹底してパレードの訓練をさせられるので、部員達の体力が著しく強化されてゆきます。私の覚えている限りでは、今津中学校から西宮市の中央にそびえるシンボル、甲山(かぶとやま)の麓まで片道8㎞を20曲のマーチを暗譜して往復したのも本当に素晴らしい思い出です。今なら、警察に届けを出して、そして許可が出れば警察官引率で交通整理などと面倒極まりない手続きが必要でしょうが、当時は今のように車も多くなく、また町全体が温かく見守ってくれたお陰で、この様な練習も可能だったのです。
 トロンボーンを先頭に(彼等が後ろにいると、スライドが前の人間にぶつかる為)金管楽器木管楽器打楽器と五列で隊伍を組み、最後尾はスーザ-ホーンです。そのベルには誇らしげに「今津中学」の文字が布に書かれてベルにかぶせてありました。
 6月後半、「2000人」が終わると、いよいよ夏休みに入った頃に行われる吹奏楽コンクール兵庫県大会への練習に入ります。(現在はその前に阪神地区大会がある)私たちの得津武史先生は、満州での大日本帝国軍楽隊で培った練習方法を良く心得ていて、先ずは粗暴なまでに大きな音を出す訓練をし、それが出来るようになれば、今度は感動する心を大勢の観客から拍手を貰うことで習得させ、その感動を音に込めることで結果が出て(コンクールやコンサートでの拍手)、感激へと心が昇華し、その上昇指向エネルギーで、スパルタ教育にも耐え得る精神を養いました。
 思い返すと、「2000人」が終わった頃の我々の音(サウンド)は粗暴で汚いけれど、ヴォリュームが大きいため、遠くまで聞こえたのです。ですから、最終的にフォルテッシモの音量が他校とは格段に違いました。このようにして、フォルテッシモを出す訓練の後は、今度は徹底して、コンクールの自由曲に選んだ楽曲を、有名オーケストラのレコードで聴かせます。そして、何処が自分達と違うのか…(それは、単純にピアニッシモがない)…ということに気付かせ、生徒自ら違いが分かって修正してゆく自主性を養いました。
 皆さんは、吹奏楽でフルートの音をハッキリと聞き分けられた方が何人おられるでしょうか? 私は、かねてよりフルートの音量が小さいことに不満を感じておりましたが、このパレードを初めとする野外訓練で、とても大きな音量をフルートという小さな楽器から出せるようになり、それが元でプロの指揮者(マエストロ宇宿允人先生)の目(耳)にとまり、オーケストラにスカウトされる切っ掛けを作ったのだと思います。
 こうして、フォルテッシモだけでは音楽にはならないことに気付いた生徒は、微妙で繊細なサウンドは如何にしてもたらされるのかを自分なりに模索して行くことになります。それを習得しなければ、コンクールに安心して臨めないことを感じるようになるのです。

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/