M&Uスクール

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今週の喝 第707号(2018.11.05~11.11)この世は全て催眠だ(448)〜栄冠への道筋!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(448
歌謡曲を歌う者は不良!?

 手前味噌で申し訳ないのですが、我ら今津中学校吹奏楽部の歴史に於いて、昭和41年に3年を迎えた私たちの学年が最もまとまりのある優秀な部員が揃っていたと思います。
 全日本吹奏楽コンクール長崎大会の後、優勝報告演奏会を最後に新しいメンバー(2年と1年)だけの練習に入ります。そして新年早々、日本一を獲得した団体が一堂に会して「アマチュアトップコンサート」に出演します。その時、3年生は新編成の部員達があらまし格好を付けた新しい編曲を大名気分で宝塚大劇場の舞台に立ちます。
 今中吹奏楽部は、この「アマチュアトップコンサート」では、どこの学校もどの団体も演奏しない歌謡曲ポップスを我々のコーチとして来て下さっていた、大阪市音楽団のクラリネット奏者でコンサートマスターの木村吉宏先生の名アレンジを演奏し、吹奏楽界の注目の的でした。
 今では、信じられないでしょうが、戦後20年を経た当時は、まだ、歌謡曲を学校で歌っただけで「不良」と決めつけられ、親が呼び出されるようなこともあった時代です。ですから、吹奏楽で演奏する歌謡曲など楽譜も発売されていませんでした。そんな時代に、我が今中吹奏楽部は、木村先生のアレンジで、シャンソンの「ラストダンスは私と」「恋のバカンス」「ブーベの恋人」「ウナセラディ東京」「夢見るシャンソン人形」など、多くのポップスを披露し、大喝采を浴びました。
 今では当たり前の演奏も、当時の風潮ではかなりの抵抗がありました。そんな中から多くのジャズプレーヤーも生まれ、在阪のビッグバンドに卒業してから在籍し素晴らしい演奏をレコーディングしている人間も出てきました。
 当時は中学生・高校生はいがぐり頭(丸坊主)に学生服が定番でした。そんな彼等から大人顔負けのトランペットやサックスのソロでヒット曲が流れてくるのですから、お客様には大ウケでした。

 

★★史上最高のメンバー★★

 私は、これらポップスを吹奏楽で編曲し演奏する草分け期に感受性多感な中学生でした。そして、ちょうどこの時期、エレキバンドのブームも到来し、これまたエレキバンドは不良の温床などと世間が騒いでいた時代です。私が、以後に作曲や編曲を志し、その結果、演歌「おもいで酒」を作るようになるのも、そのルーツは木村吉宏先生の名アレンジの影響を受けてのことでした。木村先生は、ラテン楽器を多用し、ラテンリズムの「ビギン」「ルンバ」「マンボ」「ボサノバ」「チャチャチャ」など日本人にはまだ馴染みのなかったリズムを用いて編曲し、それはもうエキゾチックな雰囲気を醸し出していました。ラテンと言えば、キューバやブラジル、アルゼンチンが本場ですが、日本人が作った(それも大阪のナイトクラブで生まれた)ラテンリズムの「ドドンパ」も多く用いてそれはもう一端(いつぱし)の歌謡曲バンドの様相でした。「ドドンパ」ってどんなリズムか知りたい方は、和田弘とマヒナスターズに松尾和子が加わって1964年(昭和39年)の大ヒット曲「お座敷小唄」を聞いて下さればよく分かります。
 ラテン音楽に使う楽器は、「クラベス」「マラカス」「ギロ」「ボンゴ」「コンガ」「トライアングル」「キハーダ」など多種多様な楽器を用い、その複合リズムで素晴らしい世界を醸し出します。
 そして、そんな折、アメリカからスクールバンドの育ての親と言われるハロルド・L・ワルターズ氏が来日し、私たち今津中学吹奏楽部を使って吹奏楽の新たなる展望を日本に紹介してくれました。その時、アマチュアバンドには値段が高すぎて手の届かない、トランペットのストレートミュートカップミュートワウワウミュートなど何種類も持ってきて、クリニックの後、全部私たちにプレゼントしてくれました。ミュートとはトランペットのベルに取り付ける弱音器のことです。
 そうしたら、案の定、吉本新喜劇のオープニングテーマ曲をマネして「ホンワカホンワ、ホンワカホンワカホンワカホンワカホン」とトランペットの山本が即座にカップミュートを使って演奏した時には、得津武史先生はその応用力に感心して大爆笑でした。
 とにかく私たちの学年が3年生の時は、前年の学年間の対立(三線裏の恐怖)の反省もあって上下関係は上手くゆき、新曲の飲み込みもとても早く、また各人の楽器のテクニックもバッチリでした。そんなメンバーの力量を察知した木村先生は、当時大流行したエレキギターの奏法「テケテケテケテケ……」の半音下降パッセージを「夢見るシャンソン人形」でテナーサックスやユーフォニアムに用いて大喝采でした。
 また、コンサートのアンコール曲に「君といつまでも」を藤崎のテナーサックス・ソロで演奏させ、その中間部に差し掛かると、ドラムの阪本がやにわに司会者のマイクを占領して、花をこすりながら、
 「幸せだなぁ……僕は君といる時が一番幸せなんだ、僕は死ぬまで君を離さないぞ、いいだろう……
加山雄三ばりの台詞に会場は満場の拍手でした。今もその時の情景が目に浮かびます。本当に素晴らしいメンバーでした。

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/