M&Uスクール

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今週の喝 第704号(2018.10.15~10.21)

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

成功への道しるべ!この世は全て催眠だ445

 

  三線裏の恐怖

 
 「三線裏へ来い!」
朝比奈隆先生による全日本吹奏楽コンクール前のレッスンが終了した直後、三年生のクラリネット・コンサートマスターが、私に近付いてきて、ボソッとつぶやきました。
 我が今津中学校は、西の運動場に対して南北に木造校舎が三棟建っており、運動場側から、一線校舎、二線校舎、三線校舎となっており、今は取り壊されましたが日本でも珍しい円筒型の校舎が一線校舎の北側にあり、南の道路(酒蔵通り)に面して東西に一棟鉄筋校舎がありました。一線校舎は職員室や図書室などで、円筒校舎と二線校舎、鉄筋校舎が教室、そして、三線校舎は音楽室、理科室、家庭科室など教科別の教室です。
 三線裏とは、この教科別教室の裏側にある校舎と塀の幅4㍍ほどのペンペン草が生えている空き地で、教科別教室が使われていない時は、平日でも誰もやってこないうら寂しい場所です。ここに呼び出されるということは、リンチか先生に知られてはまずいことの決着を付ける場所として、また悪どものたむろ場所として怖れられていました。そこに、全日本コンクールを一週間後にひかえた夜の9時過ぎに、私一人呼び出されたのです。それも、コンサートマスターに…!
 理由が分からない私は、「三線裏」という場所を想像するだけで、怖じ気づき縮み上がりましたが、行かなければ言うことを聞かないと言ってそれこそ何をされるか分かりません。
 楽器を片付け、解散の挨拶の後、得津先生は朝比奈先生にお礼の接待の為に退出していたので、学校には生徒だけです。今から何が起こるのか想像すればするほど、良いイメージは浮かんできません。仕方なしに、震えながら三線裏に行くと、そこにはクラリネットのコンサートマスターと、サックスとホルンの三年生3人が、待ち構えていたのです。

 

★★勇気の源は真心の萌芽から★★
 
 「梅谷、お前、さっき笑ろたやろ!
いきなり、コンサートマスターのO(オー)が、突然朝比奈先生がフルートのパートを替わって吹くように言われた時の私の表情について、イチャモンを付けてきたのです。私は無我夢中で吹いたので、自分が笑い顔をしたかどうかなど覚えていません。しかし、朝比奈先生に言われるままに演奏したのは記憶にあります。そして、褒められたことが嬉しかったのも事実で、その笑みを抑えようと必死で唇を噛んでいましたが、やはり見抜かれていたのです。
 「三年と替われ言われたんがそんなに自慢か……?
相手は3人です。そして、何を言っても「反抗するんか」と言うに決まってます。ここは沈黙を守るのが最も少ない制裁で済むと思いましたが、何がそうさせたか分からないまま、私は3人に、
 「僕は音楽が好きやし、日本一にもなりたい!それに、得津先生が三年のフォローをせいと言わはったから、練習していただけや。僕を殴ったら、誰が吹くねん
 と、逆にOに毒づいていました。その時、ホルンのFとサックスのHが、
 「何やと、お前、三年にはむかうんか?!
と大声で恫喝し、私に殴りかかろうとしたその時、同級生である二年生のほとんど全員(約20人)が、三線裏の両側から駆け寄ってきて3人を取り囲み、トランペットのYが、
 「三年やからゆうてええ加減にせいよ。おとなしくしてたら、何ちゅうイチャモンを付けてくんねん。後一週間でコンクールやろ……。一番大事なコンサートマスターがそんなんでええんか?
 「梅谷!おまえの演奏誰が聞いても良かったで……。O(呼び捨てで)、そやろ!
正しく兵法の極意「多勢に無勢!」三年生3人は青ざめて、何も言わずにスゴスゴと退散してゆきました。さあ、次の日に一波乱あるだろうと二年全員が覚悟を固め、クラリネット二年生のTが、得津先生にこの事件のことを次の日の朝、正直に報告しました。その時の得津先生の回答は、
 「よし、分かった!

 それからのコンクールまでの1週間は、不思議なほど二年生も三年生も一心不乱に練習し、サウンドも一層磨きが掛かり素晴らしいハーモニーを奏でるようになりました。そして、三線裏のことはその現場に居た者全てが封印するかのように、以後口に出しませんでした。それは、文字通り「暗黙の了解」の中で、日本一に向かって一丸となった瞬間でした。そして、遠征を3日後にひかえた時、得津先生は、
 「おい、フルート!パートを元に戻せ
この一声で、元通りの一番フルート三年、二番フルート二年に戻りました。
 この年のコンクールは長崎県民会館です。万全の準備のもと、正規メンバー40名は、帝産バスに揺られて一路西へと向かったのです。
 後日談ですが、私が「三線裏へ来い!」と言われたのを、トロンボーン二年生のNが聞き、トランペットのYやチューバのCに伝えたところ、
 「梅忠(私のあだ名)を見殺しにはでけへん!
ということで、他の三年が校門を出るのを見はからって三線裏に駆けつけて来てくれたそうです。
 恐ろしくも懐かしい三線裏は、現在は全てが取り壊しとなったため、存在しません。

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/