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今週の喝 第701号(2018.9.24~9.30)この世は全て催眠だ(442)〜吹奏楽のルーツは軍楽隊!〜

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潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(442
吹奏楽のルーツは軍楽隊!

 さて、中学校二年生の夏休みのことです。東京のテレビ局TBSの招きで、日本一の吹奏楽部、我々今津中学校と、これまた当時日本一の管弦楽部、千葉県銚子市立第五中学校が同じステージで共演し、それが全国に放送されることとなりました。
 中学や高校では、吹奏楽は盛んですが、管弦楽となると大学まで待たなければなりません。それを中学校で、しかも60人くらいの編成だったと思います。
 皆さんもご存じのように、吹奏楽は管楽器と打楽器だけで演奏します。そのルーツは軍楽隊です。軍楽隊は、軍隊の士気を鼓舞すると同時に、その先頭で、隊伍を組んで行進します。パレードです。これは、弦楽器には不向きで、チェロやコントラバスなど椅子に座らないと演奏できない楽器を省いて、チェロの代わりをユーフォニウム、コントラバスの代わりをチューバやスーザーフォーンが行います。また、ヴァイオリンのように大勢の人数で一つのパートを演奏する弦楽器は指向性が無く楽器全体で響くため、野外では音が散ってしまって明快には聞こえません。それに対して金管楽器は楽器の先端がベル状になっているため、遠い所まで音が届くので、その後を足並み揃えて行進する兵隊達の耳にもハッキリと聞こえます。それに、木管楽器が加わわるのですが、これらは金管楽器ほどボリュームは出ないものの、その楽器の持つ独特の音色で、割合遠くまで音が届きます。
 よく、吹奏楽のことをブラスバンドといいますが、ブラスとは金属の真鍮(しんちゅう)のことなので、金管楽器打楽器のみの楽団を指します。そこに、フルート、オーボエ、クラリネット、サキソフォンなどの木管楽器が加わった楽団は、正確にはウインドオーケストラです。このように、吹奏楽の発祥は軍楽隊で、管弦楽団に比べて少人数で大きな音が出ることがメリットです。だから、中学生の40人編成でも、本来100人近い管弦楽の編成の「新世界交響曲」を演奏することができるのです。

 

★★“オーケストラ”との衝撃的出逢い★★ 

 では、デメリットはというと、弦楽器のようにホール全体を包み込み、大人数によって生じる倍音効果が少ないため、どうしても音が薄っぺらく感じます。私は、小学校の時よりお年玉を貯めて買ったレコードは、そのほとんどが管弦楽曲でした。コンサートホールいっぱいに反響するサウンドを録音したオーケストラ(管弦楽団)が演奏する音楽と、私たち吹奏楽とでは、楽譜は同じなのに何かが違う。どこか荒っぽく、がさつでペラペラな感じがしてなりませんでした。そして、コンクールに出場するときの楽曲は、オーケストラの為に書かれたものの弦楽器の部分を各楽器に割り当て、編曲したものを使用します。ですから、どうしても吹奏楽は偽物的、模倣的な感じがしてなりませんでした。
 私は中二ながらも、こんなフラストレーションを懐いていました。それは、その当時私自身、先輩三年のイジメに耐えようと思い、その方法を模索していた時でしたので、音楽の探究に熱を入れることで、その苦を乗り越えようとしていたのを今も鮮明に覚えています。それは、一つのことに集中することで、「心頭滅却すれば火もまた涼し」とまではいきませんが、多少の暴力的行為による痛みは感じなくなりました。その実感は、より深い探究心を喚起し、私は益々オーケストラサウンドと吹奏楽の音色の違いの研究に没頭してゆきました。こうして私は、弦楽器にとても敏感になり、ヴァイオリンやチェロに深い憧憬の念を持つと同時に、吹奏楽はオーケストラの模倣をやっているような錯覚に陥り、コンプレックスを懐くようになりました。こんな時期に、東京TBSのスタジオで銚子五中のフル編成のオーケストラに巡り会ったのです。
 スタジオでは、先ず私たちがサンサーンス「英雄行進曲」を録音し、次に銚子五中のメンバーがステージに上がります。その時の曲目は今は定かに思い出せませんが、リハーサルで先生がタクトを振り下ろした瞬間、弦楽器(弦楽五部)の斉奏の重厚なサウンドに、私は最前列に座っていましたが、椅子から立ち上がることが出来なかったのを鮮明に覚えています。これこそオーケストラサウンド。相手は中学生のオケでもこのような響きが醸し出されることに私はショックを通り越して、憧憬の念が生まれ、
 「私もいつか必ずこんなオーケストラの中で、新世界交響曲を演奏するんだ!
と決意を固めたのを思い出します。
 当時の銚子五中のコンサートマスターは中学三年生で女性でした。私の心は彼女に釘付けになり、じっと見つめていたのでしょう。本番前の休憩の時、そのコンサートマスターは、私に
 「あなたは何年生?本当に音楽って良いですね。」
と語りかけてくれたことで、私は生まれて初めてプラトニックラブを体験したのです。
 今では、その人の名も忘れてしまいましたが、2,3回文通したのを覚えています。そして夏休みも終わり、全国コンクールの練習に拍車が掛かり私のプラトニックラブは終わりましたが、その後も、オーケストラ……特にヴァイオリンには特別な思いを懐くようになりました。そして、あのTBSスタジオでの感動と管弦楽に対する尊敬の念は現在になるまで衰えたことがありません。

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/