M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第683号(2018.5.21~5.27)この世は全て催眠だ(424)〜聴くより、吹く歓びを知れ! 〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(424
聴くより、吹く歓びを知れ! 

 私が1年生の冬休みに、レギュラーメンバーとして次期コンクール要員として名簿にその名が載ったその日のことは、今も心に深く刻まれています。その日、得津先生は新レギュラーの我々一年生に、
 「お前ら、真剣にラッパに取り組むんや。そうすれば、いつの間にかラッパを放したくなくなる日がくる。先生が放せ!と言うてもな
後年、その真意を
 「好きな音楽を楽器で吹けるということは、その音楽をただ聴くだけで過ごす人間より、何十倍も幸せなことや。その内、ラッパが吹けるということが、大きな誇りになり、死ぬまで楽器を手放せなくなる時がくるんや」
と、しみじみ一献傾けながら語っていたのが印象的です。
 以前にも書きましたが、得津武史先生の指導法は、一言で言うと、
 「何事も頭を使って事を行っている内は本物やない。音楽に留まらず、何事も身体そのものが咄嗟に反応せんとアカンのや。何故ならお前らの頭はええんか(明晰か)?悪い頭で考えて、ええ答えが出る訳がない。アホはアホなりに頭の使い方があるんや。それは頭は“考える”んやなしに、“感じるんや!
と言って、我々が下手な演奏をすると天ぷら棒の嵐を見舞ってきたのです。
 私も印象に残ることが一つあります。それは、
 「お前ら、人間は正直でないといかん。何でも素直に言え!」
この言葉を信じて、私は自分がどうも上手く吹けない箇所があるので、職員室まで先生に「この箇所が上手く吹けません」と、相談に行ったところ、先生は、
 「そうか、お前は素直な奴っちゃ」
と言って、私の耳を内緒話のように自分の口元にもってゆきます。私は、演奏法を教えて貰えるものと期待していると、
 「吹けるようになるまで練習せい!」

 

★★頭は考えるために非ず。感じるために使え!★★

 得津先生は、新レギュラー達に大正7年に尋常小学校一年生用の修身の教科書に載っていた陸軍ラッパ手・木口小平(きぐちこへい)の話しをよくしました。
  キグチコヘイ ハ テキノタマニ アタリマシタガ、
  シンデモ ラッパヲ クチカラ ハナシマセンデシタ
 木口小平とは、岡山県高梁(たかはし)市出身の陸軍歩兵二等卒のラッパ手で、日清戦争時の成歓の戦いに参加中、敵弾を受けて戦死しました。彼は突撃ラッパを吹きながら自分も先頭に立って敵陣に進撃中に被弾し、銃創により出血して倒れ絶命した後も口にはラッパが在り、軍人の鏡として修身の教科書に載ったのです。
 先生は、この逸話から
 「人間が一旦やると決めたこと、それが自分の使命と感じたことは、決して途中で止めたらアカン!やり抜いてこそ、そこに本物の歓びがある
と、繰り返し繰り返し、それこそ耳にタコができるくらい私たちに話しました。そして、その後は修身の教科書を暗誦させ、それを唱和されるのです。ここにも、得津流指導術が織り込まれております。
 「頭は使うものやない。反応するまで鍛えるもんや!
 後に、私が潜在意識を研究し、その効力が頭脳を用いることより比較にならない大きなものと分かるのも得津先生のこの教えが根柢にあってのことです。
 我々は、義務教育から始まり高校、大学へと進む時、学校からはテストでその良否を評価されてきました。テストはそのほとんどが記憶したものの再現でクリアできます。私が、授業中に先生の眼を真剣に見つめ、その目の動きや語気で「ここがテストに出るな」と勘が働いた箇所も、やはりそこを覚えれば良かったのです。逆に言えば、覚える箇所を先生の挙動から山を張って少なくしただけのことです。そして、テストが終われば、すべて“忘却の彼方”へと過ぎ去ってしまい、私の身に残るものはほとんど何もありません。唯一、学校で習って私の身に付いているものは、小学1年生で、訳も分からず「ニニンガシ(2×2=4)ニサンガロク……」と反復復唱させられた九九ぐらいのものです。それが証拠に、因数分解の根の公式をパッと言える人は、数学従事者以外はとても少ないと思います。
 得津武史先生は、この事を熟知していたのです。私は、友常先輩からトリプルタンギングのみならず、何事もゆっくりから徐々に早くすることで技術習得できることを教わり、それがやがて無意識化して技術家庭の時間中に無意識にトリプルタンギングの練習をして黒川先生に叱られたことも、私自身、頭を使わず、反復練習して身体に刻み込ませた故のことでした。つまり、習得(頭)から修得(身体)へと進化させたのです。
 後に全国コンクールも近付いた時、朝7時から夜10時までの練習に疲れ果てて朦朧とし、半分眠っているような状態でも、無意識に私はフルートを吹いておりました。これは頭脳を捨てて身体に叩き込んだ……つまり、潜在意識に癖化(修得)した状態を体現したのです。

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/