M&Uスクール

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今週の喝 第664号(2018.1.8~1.14)この世は全て催眠だ(405)〜 一音、一音に大きな感動!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(405
一音、一音に大きな感動!
 
 今、思い返せば1964年(昭和39年・東京オリンピックのあった年)ほど、私の人生に於いて、ステップアップを迫られた年はありません。
 ことわざ通り、「矢も楯もたまらず」父に初めて不退転の決意で反抗したのです。このように約50年前の父と私の関係を書くと、父・郁郎がすこぶる暴君のように感じられる方もおられるでしょうが、当時の親子関係というのは、何処もみな同じような感じでした。今、自分に孫が居るような年齢になったから分かるのですが、怖い者がいなければ野放図になってしまいます。その辺りを父も承知していたのか、それとも体験的に学んだのかは定かではありませんが、とにかく、
 「ちょっとでも成績が下がったら、ブラバンを辞めさす!」
と、私に豪語した訳ですから、結果如何によって只で済まないことは百も承知でした。
 しかし、入部したての一年生といえども、ゼロからの楽器習得と3曲の行進曲のマスターで6月初めのコンサートに備えなければなりません。それが終われば、初めての試練である中間試験。そして、初めて体験する精神疲労と肉体疲労……そして、無言の父からの圧力。あの時、もし吹奏楽部を辞めさせられるのが嫌で、家に帰って勉強していたら、きっと私は、次の日、学校の授業では、睡眠不足で頭がボーッとして、うたた寝状態だったと思います。
 完全なるダブルバインド(二重拘束)状態に追い込まれていましたが、私には一つだけ強い武器がありました。それは、「好きな音楽ができる!」という“歓び”と、Fluteの一音一音を学んで行く過程で“感動”がお腹の底から湧き出してくるのです。一オクターブには12個の半音階があります。ですから、私は12回感動できたのです。そして、楽器を持って2週間目には、初めての行進曲「アチーブメント」の楽譜が配られました。これもまた、大感動でした。

 

★★悩みは素直に打ち明けよう。すると…★★

 とは言っても、私の小学校の時の音楽の成績は先般も申しました通り、「縦笛が下手くそ」だったために惨憺たるものでした。ですから、楽譜が読めるはずもありません。本来なら、読めない楽譜を渡されたら、ストレスばりばり状態になるのでしょうが、私は憧れの音楽に触れられる為、あの傲慢な父に生まれて初めて逆らって、今の自分の位置を形作ったのです。多くの同輩は音符🎶を仇のように感じていたようですが、私は「いつかこの音符がスラスラ読めて、書けるようになる」という希望がありました。この時、自分の中でオプティミズム(楽観的)が萌芽していたのです。
 私に初めてFluteの手ほどきをしてくれたのは、3年生の先輩・廿(はつ)日(か)出(で)信雄さんです。とても優しい方で、「丸い音符は全音符で4拍、それに一本ひげがあるのは二分音符で2拍」と、手を叩いて丁寧に楽譜の読み方を教えてくれます。
 音楽に触れられる歓びと感動の中で、丁寧な廿日出先輩の教示…私は、夢見心地で毎日毎日朝7時過ぎから校門をくぐったことを思い出します。生まれて初めて心と身体の内側から湧いてくる“歓び”……今振り返ると、生まれて初めて「能動」という感性を身につけたのだと思います。今までの自分は、人に言われてとか、やらされてやったことがほとんどでしたが、次に何が来るのか、もっと知りたい、やりたいという感性がお腹の底から湧き出してくる感覚は初めてでした。
 ここでやっかいなことが一つ起きました。そうです、授業中もFluteや音符のことが頭にこびりついて離れません。そして、休み時間やトイレタイムなど、ふと我に返る時に、父の「成績が下がれば、ブラバンは辞めさす!」の言葉が過ぎるのです。
 そんなことがやはり顔に出ていたのでしょう。放課後、練習が終わって憂鬱の種の家に向かってトボトボと歩いていると、そこに3年生の先輩でTrumpetの友常さんが私の肩を後ろからポンと叩いて、
 「梅谷、お前何か悩んでんのんか?」
と、明るく声をかけてくれました。そこで、私はブラスバンドに入部した経緯や父親との確執を話し、勉強が手につかないことも素直に言うと、
 「みんなそんな時はある。でも、それを乗り越えるには、たった一つしか方法は無いで。それは、授業の時には授業に集中し、楽器吹く時は楽器のことだけ考えるンや。大概の人間は、授業の時に楽器、音楽の時に成績のことが頭を過ぎる。ここに人間の脆さがあるから、授業が始まる前に、『今から勉強』と自分に言い聞かせてみぃ。そして、先生の眼を真剣に見ていると、面白いことが分かってくるから、やってみてみ!
と、言うのです。後で母から聞いたのですが、友常さんは我が家のすぐ近くに住んでいて、成績は学年でも1,2を争う秀才!後に有名国立大学に進学したそうです。
 この方のTrumpetの響きは、中学生とは思えないまろやかさで、1964年、香川県高松市で行われた全日本吹奏楽コンクールの課題曲「荒野を行く」のTrumpetソロは、今もレコード録音され聴くことができます。

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/